リスクを引き受ける生き方〜ヨシュア記10章

日本の株式市場が33年ぶりの最高値を更新中ということが話題になっています。昔、証券会社に10年間在籍し、最近は、経済に関する本なども書いている身として、一言、書きたくなってしまいました。

34年近く前の1989年12月に日経平均株価は38,915円を付けました。そのときの株価の上昇はいわゆる「バブル」と言われる、異常な上がり方でした。それが崩壊して、二年余りのうちに株価は半値以下になり、10年後には7,054円の最安値を記録します。その間、日本の多くの金融機関が消滅して行きます。

そして、日本経済は失われた30年という氷河期を迎えます。今、ようやく株価が、34年前の水準に近づこうとしています。

しかし、その間、ニューヨークの株価は12倍の水準になっています。日本のバブルの後遺症はある意味で行き過ぎと言えます。

たとえば、世界最高水準の技術を誇るある日本の大手鉄鋼メーカーは、現在、株式の配当利回りでは5.5%に達しています。銀行の利回りがほとんどゼロの中、昔、多くの人が憧れた大手鉄鋼メーカーの株式を所有していると100万円で5万5000円の配当金がついてきます。しかも、その会社の純資産価値は、株式時価総額の二倍に達しています(PBR で0.5倍)。つまり、会社をたたんでしまっても、株主には二倍の資産価値が保障されているとも言える株価水準なのです。だからと言って、この株式を勧めているわけでは決してありません。笑

この会社の将来性をどれほど悲観するにしても、そのような資産価値がある会社の株式を外国人投資家が見過ごすわけはありません。

ある意味で、多くの日本人の意識はバブル崩壊以降、あまりにも安全、安心を求める消極的な姿勢になっていることが株価にも反映されているのかもしれません。その間、ハイテク分野での日本の競争力は、世界水準から大きな後れをとっており、今や、米国や台湾の技術援助で立てなおそうという政治的な動きになっているほどです。

信仰とは、目に見えない神の守りとその力に信頼して、大きな一歩を踏み出すことです。リスク回避の姿勢は、教会の低迷にもつながっています。バブル崩壊前までは、親の猛反対を受けながら信仰へと踏み出す若者が多くいました。しかし、今は、洗礼に導かれるほとんどの人は、二世、三世のクリスチャンです。まったく見知らぬ世界に踏み出そうという回心者が驚くほど減ってしまっています。

現在、「みことばの光」という聖書通読の手引きに、小生が書いたヨシュア記の解説が掲載されております。

6月5日はヨシュア記10章ですが、そこでイスラエルの指導者ヨシュアは、だまされて同盟関係を結んでしまったギブオンの住民を助けるために、イスラエルの勇士たちを引き連れて、夜を徹して救援に向かいます。それは結果的に、五つの大きな町を敵に回す無謀極まりないとも言える戦いになりました。しかし、ヨシュアがそのように勇気をもって動きだした後で、神はヨシュアに現れて、彼らに圧倒的な勝利を保証し、太陽や月や嵐の動きを支配して、ヨシュアに勝利を与えました。

不思議なのは、ヨシュアが盟約を守るために、リスクを取る動きをした後で初めて、神の語りかけと守りがあったということです。それは、安心安全を守ろうと、リスクを取る動きを始めない限り、神の助けは得られなかったことを意味します。

決して、私は皆様に、株式投資を勧めたいわけではありません。笑 ただ、株式市場はこの世の人々の気持ちを現わすバロメーターでもありますから、これを通して日本の変化への期待を改めて見てほしいと願っています。

不思議なほどに、過去の株価の動きと、日本の教会の成長は並行した動きが見られるという現実もあるのでから……