辻岡先生を偲んで、小さないのちを守る会の働き

2022年12月20日(火) 小さないのちを守る会の主催で、故辻岡健象先生の葬儀がJECA中野島教会で行われました。涙と笑いに満ちた、とってもユニークな葬儀でした。いつも微笑みを大切にしていた、まさに辻岡先生らしい葬儀になったかと思います。

先生は三年半前に胃悪性間葉系腫瘍という非常に珍しい癌に侵され、その時点で余命数か月と見られていました。ただ、効果的な抗がん剤のおかげで命が支えられてきました。しかし、副作用も強くなりこの一年ばかりは、抗がん剤投与を止め、四人のお子様たちのご家族が代わる代わるに当番を組み24時間体制で、先生のお世話をして来られました。去る12月9日はお茶の水クリスチャンセンターで恒例のクリスマスナイトが開かれ、先生はご夫妻で参加することができました。その一週間後、御家族に見守られながら、本当に眠るように息を引き取られました。

改めて辻岡先生のこれまでの歩みを見ながら、深い感動を味わっておられます。

辻岡先生の周りにはいつも笑いがありました。先生はご自分を決して飾ることなく、自分の足りないところをいつもオープンにしておられました。そして、不思議に、周りの人々は、喜んでその欠けを満たしたいという気持ちにさせられました。ですから、一年間に渡って、四人のお子様たちの家族が代わる代わるご夫妻のお世話を続けながら、そこに笑いが絶えず、みんな驚くほど楽しんで仕えておられました。また小さないのちを守る会の現在の運営委員の方々も、それぞれ大きな犠牲を払いながらも、喜んで「小さないのちを守る会」の働きを担い続けておられます。
 
僕の場合は、こだわりが強く、いろんなことをお任せすることが本当に下手なのですが、先生の場合は、本当にそれぞれの自主性に自由にお任せして、その結果をそのまま喜ぶことがおできになりました。ですから、先生の周りにはいつも楽しい奉仕者の交わりが広がって行きました。それが今回の笑いと涙に満ちた葬儀に表されていました。

先生は、ビジネスマンとして働きながら、三度にわたって、「おまえは自分のためだけにしか生きてこなかったのではないか」と、神様から厳しく問われる夢を見られました。それがあまりにも厳かで、リアルであったため、奥様にも長い間、分かち合うことができませんでした。とにかく、そのことは証ししないまま神学校へと進み、20年余り、複数の教会で牧会の働きをされましたが、あるとき開拓伝道の道が閉ざされた中で、再び、神様からの強い迫りを受けます。それは日本で年間500万人もの胎児が中絶されいるという現実を耳にしたときでした。アメリカで作られた「沈黙の叫び」というビデオを見て、衝撃を受け、いてもたってもいられなくなりました。

そこから1984年に「小さないのちを守る会」を発足させるという動きになりました。米国では、現在、妊娠中絶の是非が激しい政治問題化しています。日本では、まるで妊娠中絶反対を強く主張する人が、誤って妊娠したと悩んでいる女性の気持ちに配慮することができない偏狭な原理主義者かのような報道のされ方がしています。しかし、日本でこの四十年間、この胎児の人権を守るために戦ってきた小さないのちを守る会の働きを、そのような米国の運動と結びつけて非難する人のことを私は聞いたことがありません。それは、何よりもこの働きを主導してこられた辻岡先生の姿勢のおかげと言えるかもしれません。辻岡先生はご夫妻で、本当に望まない妊娠をした女性の気持ちに徹底的に寄り添って来られました。そこには、堕胎を考えている女性を殺人者と攻めるような雰囲気は全くありません。不思議なほどに、辻岡ご夫妻と接した人は、自分から進んで胎児のいのちを守りたいという気持ちに変えられてゆきました。それは辻岡先生を囲む人々が知らないうちに、自分にできることを何かしたいという気持ちにさせられるのと同じです。

辻岡先生は、人を非難したり、対立関係を煽るような議論とは無縁な方でした。それでいながら、胎児のいのちを守りたい、また望まない妊娠をした女性の助けになりたいという思いは、驚くほど純粋で、その情熱に周りの人々が感化されてゆきました。

現在、日本全国に、養子縁組を助てくれる団体が広がっていますが、辻岡先生ご夫妻はいろんな意味でそのパイオニア的な働きを担って来られ、この日本全体にすばらしい貢献をして来られました。

私たちの創造主である神は、一人ひとりをユニークに創造され、それぞれにふさわしい働きの場を備えておられます。辻岡先生の歩みを見ていますときに、本当に、神様が辻岡先生ご夫妻をこの働きのために導き、ご自身のときに、この働きのために召してくださったということが実感できます。

イエスさまは私たち一人ひとりに次のように語っておられます

あなたがたがわたしを選んだのではなく、わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命しました。それはあなたがたが行って、実を結び、その実が残るようになるため、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものをすべて、父が与えてくださるようになるためです。ヨハネ15:16 

私たちはいつも自分の足りないところばかりに目を向けてしまいがちですが、私たちの創造主は、必ず、欠点を覆ってあまりある力を与えてくださっています。あなたにしかできない働きを神は備えていてくださいます。それに目が開かれることはなんとすばらしいことかと思います。