夜明け前が一番暗い〜ローマ人への手紙13章11、12節

ロシアがウクライナの支配地で、住民投票を行い、その地をロシアに編入しようとしています。今後はウクライナがその支配地を奪還しようとすると、ロシアに対する直接の攻撃とみなすという、何とも恐ろしい形が進もうとしています。

いつになったら、この戦争に終わりが来るのかと、本当に暗い気持ちになります。使徒パウロは、次のように記しています

11 さらにあなたがたは。いまがどのような時であるかを知っています。あなたがたが眠りから覚めるべき時刻が、もう来ているのです。私たちが信じたときよりも、今は救いがもっと私たちに近づいているのですから。
12 夜は深まり(進んで)、昼が近づいて来ました。ですから私たちは闇のわざを脱ぎ捨て、光の武具を身に着けようではありませんか。
(ローマ13:11、12)

ここで、夜が深まっていることは、昼が近づいているしるしであると述べられています。「夜明け前が一番暗い」などと言われることがありますが、暗くなればなるほど、神にある光の世界が近づいているしるしであるとパウロは述べました。

この背後には、イエスがマタイによる福音書25章で、花婿を迎える十人の娘(ブライドメイド)のたとえを話したことを思い起させます。花婿が来るのが遅れる中で、娘たちは居眠りをしてしまいますが、真夜中になってしまってから、「さあ、花婿だ。迎えに出ようと」と叫ぶ声が聞こえます。聖書での「花婿が来る」とは、イエス様の栄光を現れを意味します。

16世紀の終わりに、フィリップ・ニコライというドイツの牧師が、ペストの感染爆発の中で、毎日、何十人もの葬儀をしながら、このイエスのたとえを思い起していました。そこで、真夜中であるとは、昼が近づいているしるしであるということに気が付きます。世界が闇に満ちている中で、イエスの光が近づいているという不思議な神秘を体験します。そこからドイツコラールの王様と呼ばれる讃美歌が生まれます。歌詞の直訳は以下のとおりです

  1. 「目覚めよ」という声が私たちに呼びかけられる。
    塔の上から夜警が高らかに
    エルサレムの都に向かって「目覚めよ」と
    真夜中こそがその時となっている
    明るい声で、賢いおとめはどこにいるのかと問うている
    喜びなさい。花婿が来られる。
    起きなさい、ともしびを取りなさい
    ハレルヤ 結婚式に向けて準備をしなさい
    彼を迎えに出なければならない。
  2. シオンは夜警の歌声を聞き、心は喜びに踊る。
    おとめたちは目覚め、急いで支度をする。
    シオンの友は、天から晴れやかに降りてくる。
    あふれる恵みと、力強い真理に満ちた姿で。
    シオンの光は輝き、シオンの明星は今、昇る。
    さあ来てください。栄光の冠の王よ。
    主イエス。神の御子よ。ホシアナ(万歳!栄光あれ!)
    私たちはみな喜びの祝宴の広間へとついて行き、
    そこで主の晩餐にあずからせていただこう!

これを編曲したJ.S.バッハのオルガン曲がとても有名です。以下でお聞きいただけます

これは結婚式の入場の際にも、また喫茶店のBGでもよく聞くことができる有名な曲ですが、それが感染症の蔓延の中で、人々が苦しみ嘆き、キリストにある救いを待つただ中で生まれたことを知るべきでしょう。

明日の礼拝ではマタイ25章1–13節から「さあ、花婿だ、迎えに出なさい」というタイトルでメッセージを取り次ぎます。上記の賛美歌はまさにこの箇所から生まれました。