ウクライナ・ロシアの復活祭

今やキリストは眠った者の初穂として、死者の中からよみがえられました。
Ⅰコリント15:20

欧米の教会では復活祭は4月17日に祝われましたが、ウクライナでもロシアでも復活祭はこの前の日曜日の24日に祝われました。それは、西方教会ではグレゴリオ暦によって、東方教会はユリウス暦によってイースターの日を計算するからとのことです。

以下で、今年のキーウの街中でのイースターのささやかな民族楽器によるお祝いと雰囲気を見ることができます

以下は、虐殺の行われたブチャの墓地でのイースターのウクライナ正教の司祭の祈りです

以下は、ロシア正教の大聖堂での大司教の祈りと、そこに参列したプーチン大統領の姿と、ウクライナの様子が対比されています

国連事務総長はこのロシア、ウクライナの双方に復活祭停戦を呼びかけましたが、残念ながら、ロシアはこの日にオデーサの集合住宅にミサイルを撃ち込み、三歳の幼児を含む多くの方々が亡くなりました。

多くの人々は、キリスト教会というとカトリックかプロテスタントを思い浮かべますが、4世紀ぐらいまでのキリスト教会の中心はギリシャ語圏にありました。それが現在は東方教会と呼ばれます。東方教会は各国ごとに分かれた教会制度になっています。たとえば、エルサレム正教会、ギリシャ正教会、エジプト正教会、シリア正教会、エチオピア正教会などがあります。それぞれ分かれた組織になっていますが、どこの正教会も4世紀以来の礼拝の伝統を守っていると思われます。

その中で最大の勢力を誇るのがロシア正教です。ロシア正教は988年に キエフ大公国のウラデミール1世が東ローマ帝国皇帝の妹を妻に迎えるところから始まります。

ウクライナの正教会キエフから始まりましたが、ロシア帝国のもとではロシア正教の下に置かれていました。それが1991年のソ連崩壊、ウクライナ独立を経て、長らく、ロシア正教会らの分離を願っていましたが、最近になって独立したウクライナ正教会として、全世界の正教会から認められています。

ウクライナ正教の分離独立にずっと反対し続けていたのが現在のロシア正教の大司教キリル大司教です。

現在、キリル大司教かプーチンと親しい関係にあるのは、ウクライナ正教の分離独立に反対するということにおいて一致しているからです。

ただ、組織的にはそのようなことがありますが、ロシア正教、ウクライナ正教、ギリシャ正教など、すべての正教会は、古代教会の伝統を大切に守り続けています。正統的なキリスト教会で大切にされる三位一体論などは、このギリシャ語圏の東方正教会で確立されました

ロシア正教ではキリストの復活と聖霊の働きを強調する正統的な教理では多くの欧米の神学者がその伝統から学ぶことができています。

共産主義を内側から崩したのもロシア正教の中に根ずく復活信仰であると評価されています。

しかし、残念ながら、キリスト教会も罪ある人間の集まりという面があります。組織が大きくなり、組織に富が集まると、組織の論理が働きうようになってきます。ロシア共産党が壊れたことの一番の恩恵を受けたのはロシア正教です。それまで国に差し押さえられていた不動産や宝物がロシア正教のもとに返されました。それとともにロシア正教の権力志向が強まってきたのだと思います。

現在のロシア正教は、LGBT問題をはじめとする西方の教会が容認する自由を道徳的な堕落と真っ向から批判し、東方教会に極端な個人主義や自由主義が入りこむことに真っ向から反対しています。

現在のキリル総主教はウクライナ正教が欧米の精神を受けて堕落し始めると強い警戒感を現わしています。

しかし、私たち自由教会の伝統に立つ者は、キリスト教会の制度化、組織化こそが腐敗の始まりであると信じます。

組織の肥大化、硬直化は、生きた信仰を失わせます。上記のビデオでのロシア正教の大聖堂での祈りと、街中での人々、またウクライナのブチャでの祈り、またたびたびご紹介しているキエフメシアニックジューの 教会とどこに、真の霊的な「いのち」を感じられるでしょう。

聖霊の働きは、まさに個々人の祈りの姿勢に現わされます。ロシア正教は、今、豊かになりすぎたことから堕落が始まているのかもしれません。権力と富はキリスト教会さえも内側から腐敗させるという良い例かもしれません。

でも、ロシアの民衆の中には健全な信仰が残っています。私たちはそこに期待したいと思います。ロシア共産党を内側から崩した一般の人々の信仰が、ロシアを内側から変えることを期待して行きたいと思います。

皆の益となるために、一人ひとりに御霊の現れが与えられているのです
Ⅰコリント12:7