オリンピック——不条理をバネに

北京オリンピックでいろいろなドラマを見ることができています。ジャンプの高梨沙羅ちゃんの失格騒ぎは多くの人がジャッジの方に不満を持っています。羽生さんが不運にも氷の溝に落ちて四回転をできなかったことは本当に残念です。でもそれぞれ、その後で、驚くべきパーフォーマンスを見せることができていたことに多くの方々が感動していました。

本当に、不条理な判定や失敗にめげずに、さらなる最善を目指すことができることは何とすばらしいことでしょう。

そのような中でも、とっても悔しい思いをしたのは、スノーボード女子パラレル大回転に出場した竹内智香さんのことです。転倒したときに相手のドイツの選手の進路妨害をしてしまったとの不思議な判定が下り、失格扱いにされました。 でご覧いただけます。

竹内さんは、試合後に、「勝ちあがったと思った。まったく納得できない」と言っておられました。もう六回もオリンピックに連続で出場し、2014年のソチオリンピックでは銀メダルを獲得していらっしゃいます。

僕の故郷の町、旭川の郊外東川町の旭岳の麓の勇駒荘という由緒ある温泉旅館がありますが、ご両親とお兄さんはそこを経営していらっしゃいます。

まさに彼女はわが故郷の誇りなのですが、これが最後のオリンピックになるのがとっても悔しいようです。

ただ不思議に、昨日のインタビューではその当たりに気持ちが報じられていませんでした。審判に対する批判をタブー視するカルチャーが日本にあるからだと思います。

イエス様は、たしかに、「あなたの右の頬を打つ者には左の頬も向けなさい」(マタイ5:39) と言われましたが、それはローマ帝国と戦うことの愚かさを告げるためであって、不条理に、泣き寝入りすることの勧めではありません

事実、イエスが捕らえられ、当時の大祭司の尋問に反論しましたが、それを聞いた下役が、「平手でイエスを打ちました」。そのときイエスは、別の頬を向けることなく、「なぜ、わたしを打つのですか」とさらに反論されました。イエスは、不条理に対し泣き寝入りを勧めたわけではないのです。

竹内智香さんは二度オリンピックに出場した翌年の2007年3月に、23歳で日本のナショナルチームから外されるという通告を受けます。

環境面や意識面において日本チームへの不満がたまっていたこともあり、彼女はこの時期に、世界強豪国のスイスのナショナルチームに入れてもらうように直談判をします。ベビーシッターをしながらドイツ語を学びスイスで認められてゆきます。それが七年後のオリンピック銀メダルにつながります。

彼女は、「合理性だけで判断しない」をモットーに、逆境をバネに成長を目指す人です。「0.01%の可能性」でも、ゼロではない限り、可能性に賭けることに生きがいを感じます。

使徒パウロはキリストにある生き方を、「私は……ありとあらゆる状況に対処する秘訣を心得ています。私を強くしてくださる方によって、私はどんなことでもできるのです」と告白しました (ピリピ4:12、13)。

竹内智香さんの信仰については分かりませんが、彼女はスイスに住むことによって日本が好きになるとともに、日本人的な発想の問題点にも目が開かれました。

それは自分の個性や発想をそのまま喜び受け入れ、自分が感じたことを堂々と発信してゆくという勇気と言えるかもしれません。

私たちは今、日本にいながら、日本を喜ぶと同時に、キリストにあって日本人の限界を超えることができます。そんなことを、竹内さんの歩みから教えられています。僕の故郷、東川町から生まれた生き方、何かとっても親和感を覚えています。