星野富弘さんのストーリーを5分にまとめた作品〜ローマ書5章

 先週、78歳で天に召された星野富弘さんが、詩画作家へと導かれるストーリーが5分にまとめられた動画を、昨日紹介していただきました。
 とっても感動的ですのでご覧いただければ幸いです。
絵:みなみななみ 音楽:STYLE Jun

 富弘さんは、23歳で中学校の体操教師として器械体操の模範演技を示そうとした最中に、事故を起こし、首から下が動かなくなりました。
 死を望む中で、多くの人の愛を受け、苦難の中で希望を持てるようになりました。そのとき心に響いたみことばは、先日の礼拝メッセージでお話しした箇所です。以下はその中心の私訳です(ローマ人への手紙5章2–11節抜粋)

神の栄光にあずかる望みを誇りとしています……・
そればかりでなく、苦難の中においても誇っています。
それは私たちが知っているからです、苦難が忍耐を生み出すことを、
忍耐が練られた品性を、品性が希望を(生み出すことを)。

この希望は恥とはなりません。なぜなら神の愛が私たちに注がれているからです……それは聖霊を通してのことです。
実にキリストは……不敬虔な者のために死んでくださいました……
私たちは神において誇っています……・
キリストを通して私たちが今、和解を受けているからです。

 富弘さんは、お母様の助けを得て、口に筆をくわえさせてもらって画用紙に、見舞ってくださった方々への感謝のことばを書こうとしました。
 それがだんだん身についてきました。あるとき牧師とともにきたご高齢のご婦人が持ってきた「らん」の美しさに感動し、その美しさを残したいと思い、必死に表現しました。
 一方、教会のご奉仕の一環で、若い渡辺昌子さんという方が、定期的に介護のために訪ねて来て下さいました。
 彼女にそのらんの絵を見せると、深く感動してくれました。富弘さんは、ついその絵を「あげるよ」と言ってしまいました。

 彼女はその絵を 持ち帰って 机の前にかざって見ているうちに、どんどん、富弘さんのことで心が一杯になったようです。
 富弘さんも毎週定期的に訪問してくださる昌子さんの気持ちに心を動かされて結婚を申し出てしまいます。
 らんの絵を描いて差し上げたことが 結婚への大きな導きとなりました。結婚後は昌子さんの支えで、美しい花の絵と人の心に届く詩を書き続け、それが世界中を巡って、多くの人に希望をもたらすようになりました。

 まさに、苦難の中で、神にある希望を見出し、見舞ってくださる方への感謝を文字と花の絵で表現しようとしたところから富弘さんの飛躍が始まりました。

 目の前の人に感謝の気持ちを表現したいと思ったことがすべての始まりでした。また、昌子さんに 差し上げたらんの花の絵が、彼女の心を動かし、またそれがさらに多くの人の心を動かすようになって行きました。

 すべては、苦難から希望が生まれるとのみことばから始まっています。

富弘さんの 1974年の「はなきりん」を描いた詩に次のように記されています

動ける人が 動かないでいるのには 忍耐が必要だ
私のように 動けないものが 動けないでいるのに
忍耐など 必要だろうか
そう気づいた時 
私の体を ギリギリに縛りつけていた
忍耐という棘の生えた縄が
”フッ”と解けたような気がした

 これは先の 「苦難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を、品性が希望を生み出す」というプロセスが喜びに変わった瞬間です。
 そこに富弘さんの練られた品性が生まれ、そこに人々の心を動かす「希望」が生まれて行きました。

 それは私たちに一人一人にもそれぞれ固有の形で現われ得るものかと思います。