1月の第3月曜日 キング牧師の日—ビートルズのヘイ・ジュード——共産主義からの解放へ

昨日はコロナからの完全回復を願ってひたすら家に籠っていました。
ただ、ほんの少し、近くの古本屋に行って、掘り出し物のレコードを買いました。
ビートルズの後半の名曲を収録した幻の「青版」レコード。
 LP二枚組を何とたったの800円で……ポスターが入っていない分安かったのか、でも何の傷もない綺麗なレコードでした。国立は本当に良い街です。

 そこで、ビートルズが1968年にリリースしたヘイ・ジュードを改めて何度も聞きました。これは僕が中学校三年生の時、畑で農作業を手伝っていたか、記憶は定かではないですが、ラジオから流れるこの曲に耳を傾けていました。
 意味はほとんど理解できませんでしたが、何とも言えない不思議な感覚に浸っていました。
 僕はその頃、学校の成績も急上昇中で、農家の後継ぎを止めて、都会に出ることを考え始めていました。僕を後継ぎにしたい父の願いは分かっていましたが、母は僕が自由に生きることを願ってくれていました。

 同じように当時のソ連の西の果てのエストニアに住んでいた17歳のイヴォ・リンナはこの曲に衝撃を受け、当時は自由に使ってはいけなかったエストニア語で、このカヴァー曲を歌い、これをきっかけに歌手に道を歩みだします。
 その曲はバルト三国の人々の心の動かし、やがてソ連の支配からの解放へと人々の心を動かします。
 またチェコではこの歌の替え歌が作られ、それが人々の心を動かしたと言われます。先日のNHKのバタフライ・エフェクトでも報じられていましたが、当時のソ連共産主義支配からの解放を願う人々の心を動かすのに、ビートルズのへジュードは圧倒的な力を発揮します。
 でももともとの歌詞には、そのような政治的な意味など皆無でした。
で歌詞とビートルズのライブ映像をご覧いただけます。

 僕の心を動かしたのも、またエストニアのイヴォ・リンナの心を動かしたのも、伝統や慣習から自由に、自分の心に沸き起こる思いに身を任せて、一歩踏み出してみようという語りかけだったように思います。

 同じように1968年で思うのは、米国でキング牧師が暗殺された年と言うことです。キング牧師は1963年にワシントンで「私には夢がある」という有名な演説をします。 でご覧いただけます。

 その中心は、イザヤ書11章のレトリックを用いて、黒人の子と白人の子が互いを喜び合うという時代が来る、また黒人の子が、肌の色ではなく人格や能力で評価される時代が来るという、人々に夢を与える説教でした。
 
 そして、キング牧師への評価ではわかれがちの共和党政権下のレーガン大統領の時代の1986年に毎年一月の第三月曜日をキング牧師の日とするという大統領令が発行されました。
 そして、キング牧師の演説からたった四十年後にオバマ大統領が誕生します。オバマ氏の功績に関しては意見が分かれますが、キング牧師が語った夢が実現したということに、アメリカの偉大な力を感じます。
 
 使徒パウロは、ユダヤ教の教えに戻ろうとするガラテヤ教会の人々に対して、次のように書いています

キリストは、自由を得させるために私たちを解放してくださいました。
ですから、あなたがたは堅く立って、再び奴隷のくびきを負わされないようにしなさい。
ガラテヤ5:1

 創造主が一人一人の心の奥底に、夢を与えてくださるきっかけがあります。それはビートルズの音楽かもしれないし、キング牧師の演説かも知れません。
 創造主はどんなことをもきっかけに用いることができます。

 自分の心の声に自由に従うことができるということがどれだけ大きな特権かということを忘れてはならないと思います。