ハマスの創設者の息子がクリスチャンに……自分を迫害する者のために祈りなさい〜マタイ5:44

本当にガザ地区の悲惨さには目を覆いたくなります。その地で命がけで難民の方々に仕えておられる方々には頭が下がります。

米国のクリスチャンたちの間ではとっても有名な話ですが、今回のイスラエルの対する悲惨なテロを起こしたハマスの創設者の息子モサブ・ハッサン・ユーセフさんは1996年にイスラエル軍に捕らえられた後、クリスチャンになり、現在はアメリカに亡命しております。彼はしばらく沈黙を守っていましたが、つい昨日になって米国の FoxNews のインタビューに答え始めました。イスラエルを憎んでいたパレスチナ難民の息子であり、ハマスの創設者の息子として恵まれた生活をしていた人がなぜ、ハマスを裏切ってアメリカに逃亡したのか、とっても考えさせられます。

以下で彼のインタビューをお聞きいただくことができます

そこでとっても印象的な発言は以下の通りです。「1996年に私がイスラエルのスパイ活動容疑で捕らえられた後、ハマスを去ったのは、彼らの残虐さに耐えられなくなったからだ。自分はハマスのリーダーに属する家族たちの中で、とっても安定した立場が保障されていたが、彼らの残虐さのゆえに行動を共にできないと考えるに至った。

彼らはパレスチナ難民の命が失われることなど何とも思っていない。彼らは決して、パレスチナの人々に仕えているのではない。彼らはかつての「イスラム国」を樹立しようとしたテロリストと同じ目的を持っている。彼らは自分たちが信じる偏狭的な理想の実現のために、人間の命を失うことなど、何とも思ってはいない。

彼らは敢えて言うと、「今はイランに仕えている」だけだ。彼らはパレスチナ人を人間の盾として使っているだけだ。今後のパレスチナ人のことを考えたら、このハマスを壊滅させるしかない、今、パレスチナの人々のことが本当に心配だが、ハマスというテロリストを撲滅しない限り、パレスチナ難民の将来は開けない。」

僕は、ユーセフさんがなぜイエス様を救い主として信じるに至ったか、どのみことばに動かされたかは、聞いていません。でも想像はできます。イエス様の時代、本当に多くのユダヤ人がローマ軍に対するテロ活動を続けていました。イエスがそのような中で次のように言われました

「あなたの隣人を愛し、あなたの敵を憎め」と言われていたのを、あなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。
マタイ5:43、44

イエスは自分たちを迫害するローマ軍と戦う代わりに、ローマ人を愛することこそが、問題の解決になると言われたのです。このような教えは、イスラム教のコーランにはまったく記されていません。

ただし、これは当時は、極めて政治的な意味を持っていました。イエスは、ローマからの独立運動が、かえってユダヤ人の国の滅亡につながると言っておられたのです。そして、その通りに、イエスの十字架から40年後にエルサレムは壊滅し、多くのユダヤ人たちが住まいを失うことになりました。

ユーセフさんは、パレスチナ難民のことを誰よりも心配して、心を痛めています。しかし、そのためには、ハマスというテロ組織を滅ぼすしかないと心から信じ、今は、イスラエル軍のガザ地区への侵攻に賛成しています。そのために、もちろん、一般市民を巻き添えにしないための最大限の努力を進めていますが、とにかく、ガザの地下に掘られたトンネルを無くしてしまわない限り、問題の解決は期待できないと言っています。そればかりか、トンネルを破壊する前に、難民への援助を行っても、それらはすべてハマスを助けることにしかならないとまで言っています。

これは、本当に恐ろしく冷酷な発言に聞こえますが、ハマスの残虐さを誰よりも熟知している人のことばとして無視できないと思います。

とにかく、ハマスの創設者の息子が、イスラエルの軍事侵攻の必要性を否定できなくなっているという事実に向き合うべきでしょう。

ユーセフさん自身も、自分の身の危険を覚えながら、このようなインタビューに答えているという現実を私たちは無視できません。

このことに関して、友人の明石先生が以下のように書いておられます

 日本の報道の大きなゆがみの一つが、これがイスラエルとアラブ諸国との関係で話されていることです。
 アラブ諸国は、イスラエルを非難していますが、それは、ハマスを壊滅しようとしていることを非難しているのではありません。彼らは一様に、ハマスを激烈に非難しています。
 エジプトとヨルダンが難民を受け入れないと言っているのは、それが理由。ハマスが侵入するから。
 アラブ諸国がイスラエルを批判しているのは、パレスチナの大義なのです。つまり、彼らの尊厳です。
 これと、モサブ・ユーセフさんの意見も沿っているのです。イスラエルがハマスを壊滅するというのであれば、それを後押ししないといけない、という考えです。アラブ諸国も、ガザの人々に被害がでなければ、イスラエルの軍事行動に賛成なのです。
 このことが全く報道されていません。ハマス壊滅については、イスラエルとアラブ諸国は完全に一致しているから、だから戦争が始まるまで、サウジとイスラエルの国交正常化の交渉が行われていたのです。
 そして、ハマスを育てているイランは、彼らにとって大敵です。同じイランが今、北部でヒズボラを通して攻撃を開始しています。二正面になっています。