主の救いを身近なところに発見する

立川チャペル便り「ぶどうぱん」2022年イースター号より

去る2月24日にロシアが大軍をウクライナに送り込み、世界の歴史が大きく動き出しました。ロシアの論理は、かつて日本が朝鮮半島から満州を支配し、中国に進軍したことに似ています。そこでは、米国や英国の支配からアジアを守るという大義が掲げられていました。そして日本の軍部は特に、米国の軍事的な圧力をひしひしと感じていました。ですから、日本軍による真珠湾攻撃は米国が用意した「罠」であるというのが今や歴史の通説になりつつあります。

しかし、その状況を朝鮮半島や中国の人々の視点から見るとどうでしょう。彼らは日本の軍事侵攻を歓迎していたのでしょうか?大国意識の問題点はそこにあります。ロシアがNATOの脅威を感じることにはそれなりの理由があります。それに対する共感は必要でしょう。しかし、だからと言って、ウクライナをまるで自国を守るための将棋の駒のように扱って良いはずはありません。

聖書の多くのストーリーは、そのような大国どうしの権力争いのただ中で苦しめられる小さなイスラエルの民や、そこに住む「やもめやみなしご」に焦点を当てるものです。米国、中国、ロシアの対立構造から神の支配を見る代わりに、そのはざまで犠牲になっている小さな国のただ中に、またそこで苦しむ小さな民の中に、神の救いのみわざを見ることができます。

1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に、その地のユダヤ人がイエスを救い主と信じる信仰に導かれ、そこにスラブ系の異邦人や多民族が加わり、すばらしいキリストの教会が生まれています。「キエフ・メシアニック・ジュー集会(非ユダヤ人とユダヤ人が集うキリスト者の集会)」で、毎週の礼拝に2000人余りの人が集う世界的な教会になっています。神田英輔先生、柳沢美登里先生、陣内俊先生を中心とした「声なき者の友の輪」(FVI) は福島原発事故以降、上記の教会との交わりを築いています。

この教会の特徴は、とにかく、主への賛美を身体全体で表す踊りにあります。爆弾がいつ落ちてくるかわからないようなキエフのただ中で、主を喜び歌い、踊っています(ネットで messianic family united と入れると最新の情報を見ることができます)。また、そこで何人もの人が代わる代わる、主の身近な救いのみわざを証しています。そして、居場所を失った人々を受け入れ、互いに支え合っています。そしてそこに次々と未信者の方が交わりに加えられて行っています。

私たちは二ュースを見ながら、戦争の悲惨さに目をそむけたくなります。しかし、闇がおおう中には、必ず、主の光を確認することができます。主は、貧しい者一人ひとりに目を留めておられます。そのような証しが繰り返し、聖書に記され、またこの戦時下のキエフの教会でもなされています。

ハバクク書は次のような祈りから始まります。

いつまでですか、主よ。私が叫び求めているのに、あなたが聞いてくださらないのは。
「暴虐だ」とあなたに叫んでいるのに、救ってくださらないのは。
なぜ、あなたは私に不法を見させ、苦悩を眺めておられるのですか……
そのため、みおしえは麻痺し、さばきがまったく行われていません……
(1:2–4)

しかし、そのような中で、

いちじくの木は花を咲かせず、ぶどうの木には実りがなく、オリーブの木も実がなく、畑は食物を生み出さない。羊は囲いから絶え、牛は牛舎にいなくなる。しかし(それにも関わらず)、私は主にあって喜び踊り、わが救いの神にあって楽しもう。私の主、神は私の力。私の足を雌鹿のようにし、私に高い所を歩ませる
(3:17–19)

神が与えてくださる救いとは、多くの場合、「にもかかわらず」ということばで表されます。目に見える状況は問題だらけですが、その問題のただ中に主のみわざを見出すことができます。

主は全世界の政治を動かす方ですが、それは多くの人の目には、あまりにも時間がかかりすぎるように見えるものです。しかし、主の救いは、日々のあなたの生活のただ中で確認できるものです。

「主 (ヤハウェ) を喜ぶことは、あなたがたの力だからだ」(ネヘミヤ8:10) と記されるように、今ここで、主 (ヤハウェ) を喜び歌い、踊るところから、悪の力に耐えて、今ここで果たすべき責任に集中する力が与えられます。ぜひ、messianic family united での礼拝動画を少しずつでもご覧ください。