ウクライナとロシア〜エレミヤ9:23、24

ウクライナ情勢がとっても心配です。不思議なのは、ウクライナのNATO加盟の話しは、25年前から話題になっていたのに、それが今更、問題の根本であるかのように言われていることです。1997年7月にウクライナNATO特別パートナーシップ憲章というのが結ばれています。その経緯やその後の議論は のサイトでご覧いただけます。

一方、歴代の米国の大統領などの問題は、あまりにもロシアやウクライナの歴史への理解が足りなくて、ロシアの国家としてのプライドを傷つけすぎたことかと思われます。

今、状況がどんどん悪化しています。それで、一番心配なのはこれが現実の核戦争に向かう可能性があるということです。現実にプーチン大統領は核使用をほのめかしながら、欧米諸国に譲歩を迫っています。もちろん、今は、広島や長崎に落とされたような都市をすべて破壊するような核兵器は用いられないでしょうが、攻撃対象に焦点を絞った戦略核兵器の使用の可能性は排除できません。

今、大切なのは、ロシアのメンツが保たれながら、ウクライナの独立性がどのように保障されるかということかと思われます。

本当に、各国の指導者が冷静に、互いの主張を受け止め、対話できることを私たちは祈って行くべきでしょう。

私たちの教会では、水曜日の10時半と夜7時半にZoomで祈祷会を開いていますが、今週はウクライナの平和のための祈りに集中したいと思います。今回だけの参加者も歓迎しますので、ご希望の方はお知らせください。Zoomのリンクをお知らせします。

1991年にソビエト社会主義共和国連邦が崩壊したときに、真っ先に独立化の方向に動き出したのがウクライナです。ただ、一つの国が各共和国の独立に向かうのですから、核兵器の管理からはじまって様々な問題が、最初は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ三国間で話し合われそれが分かれた旧ソ連の共和国に広げられました。

とにかく、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国はソ連邦の中核であったことがそこでも明らかになります。

もともとこの三国は、882年のキエフ公国の成立に由来します。それが988年に東ローマ帝国の皇帝の妹がキエフ公国に嫁ぐことを契機に、この国全体がキリスト教化されます(ギリシャ正教)。

その後、この国はモンゴル帝国によって滅ぼされますが、1480年にモスクワ大公国として自立し、それが1547年にロシア帝国の成立につながります。

1700年前後にロシア帝国を治めたピョートル大帝は領土を大幅に広げ、彼が現在のロシア国旗を作ったと言われます。そこには、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの三民族の調和と協力の思いが込められていたとも言われます。現在のプーチン大統領はこのロシア帝国復興への思いが強いと思われます。

フランス皇帝となったナポレオンがヨーロッパ諸国を征服し、ロシア征服に乗り出しますが、そのときにナポレオンを破ったのがアレクサンドル一世です。西ヨーロッパ中心の歴史で見る人は、ナポレオンに最初に勝利したのがロシアであるということを軽く見過ぎているかもしれません。最終的にナポレオンを失脚させたのは英国の将軍であっても、最初に、国家としてナポレオンを打ち破った国はロシアなのです。

またヒットラーのドイツが全ヨーロッパを支配したかに見えた時、最初に、ドイツ軍に決定的な勝利を収めたのもロシアを中心としたソ連軍でした。

モンゴル帝国の支配を打ち砕き、ナポレオンやヒットラーのヨーロッパ統一の夢を打ち砕いてきたのがロシアなのです。

ただ、今まで書いてきたように、ロシアはその過程で、同じ兄弟国のウクライナを散々に苦しめてきました。

冒頭に書いたようにソ連の崩壊からすぐに西ヨーロッパとの交わりを強化しようとしたのがウクライナです。それは、多くのウクライナ国民がロシアの支配を恐れていたからです。

ただ、プーチン氏が2000年に大統領に就任してから、彼はウクライナに親ロシア政権を立てようと必死になっていました。それが一番最初にとん挫したのが、2004年、今から18年前のオレンジ革命です。その後、大統領になったユシチェンコ大統領は、その候補時代に、ロシアの秘密警察によって毒殺されかけたと言われ、その同情票もあって大統領に就任しました。しかし、これも様々なロシアのスパイ工作により政権が混乱したようです。そしてついに2010年に親ロシアのヤヌコービッチが大統領に就任します。ところが、この政権が2014に崩壊し、彼はロシアに亡命します。

つまり、プーチン大統領がウクライナに軍事力を行使しだしたのは、スパイ活動を駆使してできた親ロシア政権の崩壊がきっかけだったのです。

その時、プーチンの前にドイツのアンゲラ・メルケル首相が立ちふさがり、冷静に、しかも辛抱強く対話を続け、プーチンの心を落ち着かせてきました。

しかし、その他の西欧諸国の指導者や米国の指導者は、ロシアとウクライナの歴史的な結びつきや、ウクライナの人々のロシアに対する矛盾した感覚などにあまりにも無頓着に、ロシアのメンツをつぶし続けたのかもしれません。

国も指導者も互いの「誇り」を尊重しながら交渉しなければ、交渉が成り立ちません。互いに、脅しで、相手を屈服させようとしては対話になりません。

人間は力や軍事力を誇りとしながらも、どこかでそれでは人々の心をまとめることはできないということを良く知っているはずです。

改めて、この時期、エレミヤ9章23、24節のみことばを覚えたいと思います。

主 (ヤハウェ) はこう言われる。——
知恵ある者は自分の知恵を誇るな。
力ある者は自分の力を誇るな。
富ある者は自分の富を誇るな。
誇る者は、ただ、これを誇れ。
悟りを得て、わたしを知っていることを。
わたしは主 (ヤハウェ) であり、
地に恵みと公正と正義を行う者であるからだ。
まことに、わたしはこれらのことを喜ぶ

ロシアがモンゴル帝国から独立し、ナポレオンもヒットラーも打ち破ったのも、歴史的な必然と言えましょう。それは彼らが負けるべくして負けただけです。

そこに天地万物の創造主ご自身の支配が現れているということです。

本当に、今こそ、世界中のクリスチャンたちがこのウクライナの平和のために祈る必要があります。