新しい日本のリーダー 「核兵器のない世界へ」

最近の自民党総裁選に関する報道には違和感を覚えてる人も多いかと思われます。本来の議院内閣制のあり方からすれば、国民がどの政党を支持するかということを原点に、内閣総理大臣が決まるべきだからです。そうは言っても、現状の政治状況からしたら、自民党総裁に選ばれた人が、内閣総理大臣になり、次の総選挙でも、それがそのまま認められると大多数の人が思っています。米国やドイツのような政権交代は当分起きないと思っているのがマスコミでも大多数ではないでしょうか。政権与党を批判する前に、政治に大きな変化を期待できない体制を作り上げている野党や国民世論全体を私たちは注視すべきでしょう。

ローマ皇帝が歴史上悪名高いネロであったとき、使徒パウロは「人はみな、上に立つ権威に従うべきです。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられているからです」(ローマ13:1)と記しました。権力者と戦う代わりに、権力者のために祈ることから、ローマ帝国の中でキリスト者の数が爆発的に増えて行きました。

どのように立派な政治権力者にも、批判すべき点、正されるべき悪が絶えることはありません。政治自体が諸勢力の利害の調和の上に成り立つからです。そこには醜い打算や駆け引きが付き物です。

そのような中で、パウロはさらに次のように記しています

すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて評判の良いことに、また、何か徳とされることや賞賛に値することがあれば、そのようなことに心を留めなさい
ピリピ4:8

岸田文雄新総裁の著書がさっそく新聞広告になっていました

核兵器のない世界へー勇気ある平和国家への志

岸田さんは安倍政権下で外務大臣を務めていたとき、米国のオバマ大統領の広島訪問を実現させた中心人物であることはだれもが認めるところです。

その背後に、広島や長崎県民の悲願がありました。岸田総理のもとで、核廃絶への動きがどこまで進むか、楽観的に考える人はいないことでしょう。

しかし、一つはっきりしていることは、今、人々を恐怖に陥れている新型コロナは、政治がどれほど無能であっても、必ず収束の時期を迎えることは歴史が証明しています。

しかし、核廃絶は、草の根の熱い思いが積み上げられない限り決して実現することはありません。国際政治を抜きに核廃絶は実現できません。米国がかつて核爆弾開発のために投資したマンハッタン計画の総資金は、日本が太平洋戦争のために費やした膨大な軍事費用を上回ります。

ところが今や、北朝鮮やイランという国民が困窮生活を強いられている国が開発できています。もっとも安価な軍事戦略物資になりつつあります。

もし、私たち国民が、「どうせ、自民党総裁なんて、何の変化も生み出せない」と最初から諦めていたら、新総理もこの問題に真剣に取り組む動機が働きません。しかし、新総理の中にあるそれなりの理想を刺激するような発言をみんなで繰り返すなら、少しは動くことでしょう。人は基本的に、信頼を受けていると思う時に、真剣にその問題に取り組む勇気が湧いてくるからです。

少なくとも今までの日本の首相で、「核兵器のない世界へ」という本を書いた人がいないことは事実です。政治に、現実離れした理想を安易に求めることなく、同時に、理想のために一歩でも二歩でも前進させてくれる指導者を応援する使命が与えられているような気がしています。