ドイツの政権交代 環境政策〜詩篇96篇

日本では戦後で実質的に35人目の内閣総理大臣になりそうな人がまもなく選ばれようとしていますが、ドイツではようやく戦後8人目の首相の退陣が決まったところです。戦後のドイツでは1949年からの20年間はキリスト教民主同盟が政権を握っていました。その中でアデナウアーは14年間首相の座にいました。1969年からの13年間は社会民主党の政権で、ブラント、シュミットがそれぞれ安定した政権運営を行っていました。1982年からの16年間はキリスト教民主同盟の政権でコール氏が16年間も首相の座にとどまり、東西ドイツの統一を成し遂げました。

1998年から7年間は社会民主党のシュレーダー氏が緑の党を連立与党に招き入れて政権を担っていました。このときドイツは脱原発に大きく舵を切ります。2005年からはご存じのとおりキリスト教民主同盟のメルケル首相が首相の座に留まっています。2011年の福島原発事故の際、メルケル首相はいち早く、脱原発に舵を切ったかのような報道がなされていますが、基本は、その前の社会民主党、緑の党の連合政権が決めたことを是認したにすぎません。

今回のドイツの総選挙では、久しぶりに社会民主党が第一党になりましたが、上記の戦後の流れを見ると明らかなように、キリスト教民主同盟、社会同盟の長期政権の後は、社会民主党が政権を握るのが過去からの通常のパターンになっています。

何よりも注目すべきは緑の党の躍進です。1998年に連立与党入りした緑の党の得票率は6.7%に過ぎませんでした。当時は、かつての学生運動の指導者が多く入っている左翼政党と見られていました。しかし、政権与党に入ったことで、現実路線を歩み出し、最近まではドイツで社会民主党を上回る支持を集めていました。今回は緑の党の党首の学歴詐称疑惑などで支持を失いながらも何と14.8%もの支持を集め、国会で初めて第三党になりました。

今後の連立のためには自由市場経済を大切にする第四党の自由民主党との連立合意が不可避になりますが、これは極めて大きな不安要因です。緑の党と自民党は水と油のような関係にあるからです。しかし、社会民主党が政権を握るためにはこの二政党の協力を取り付けることが不可避です。もちろん、メルケルさんが社会民主党との大連立を組んだように、社会民主党がキリスト教民主、社会同盟と連立を組む可能性もないわけではありませんが、たぶん、自由民主党はかなりの妥協をしてでも緑の党との連立協議を成り立たせて政権与党入りを目指すことでしょう。自民党は長らく政権与党から外されてきたからです。

どちらにしても、これからのドイツではますます環境保護政党の緑の党が圧倒的な存在感を示すことでしょう。これはヨーロッパのみならず世界全体の環境保護政策に大きな影響力を持つことになることと思われます。なお、緑の党は、LGBT人権擁護、中絶容認など、伝統的なキリスト教の価値観を壊す勢力でもありますので、環境保護以外での影響力も懸念されます。

なお詩篇96篇10-13節には、以下のように、聖書の神のご支配がこの地に確立されるときに、被造世界全ての喜びが全地に満ちると預言されています。本来、キリスト教の教えこそが環境保護政策の核心にあったということを忘れてはなりません。

国々の中で語れ 「主 (ヤハウェ) は王である」          
 それゆえ世界は堅く建てられ 揺るぐことはない
  やがて主は 公正をもって 人々をさばかれる      
喜べ 天よ 喜び踊れ 地よ  
 とどろけ 海とそこに満ちるものよ
  歓喜せよ 野とすべてのものよ  
そのとき森のすべての木も主 (ヤハウェ) の御前で喜び歌う  
 主は確かに来られる 地をさばくために来られる  
  正しく世界を 真実に人々をさばかれる