柔道の浜田尚里金メダル〜詩篇139篇

感染者数の急増とオリンピック選手の活躍で心が一喜一憂する毎日かと思いますが、いかがお過ごしでしょう。

今回のオリンピックでは柔道勢の活躍が目立っていますね。多くの人にとっては、ふだん、あまり目にすることのないスポーツで、しかも日本のお家芸で金メダルばかりをとっても……という思いも持っていましたが、昨日、初めて見た浜田尚里(しょうり)選手の姿に感動しました。何とも言えない美しさを感じました。

以下で、四試合すべて寝技の一本勝ちを で見ることができます。

その他の柔道選手も一様に言っていることばとして、「自分らしい戦い方」というのがありました。それぞれの選手が自分らしさを発揮できた時に、勝利の栄冠を勝ち取ることができているということです。

浜田尚里さんの場合は、寝技を極めたということですが、30歳にして初めてオリンピックに出場できて、そこで金メダルを取るという人生には、ほんとうに長い苦難の歴史があったのかと思わされます。

以下は彼女の高校時代の恩師の吉村氏のことばを引用した記事 [1] の抜粋です

「ものすごく頑張り屋だな、ということはほかの選手よりも強く感じました。本当に弱いので人形のように投げられるんですけど、すぐに立ち上がる。柔道は投げられたら照れ隠しというか、ゆっくり立ち上がって時間稼いでみたいなところもある選手もいるんですけど、浜田はすぐ立ち上がってすぐ向かう。すぐ向かえば、すぐやられるわけですよね。だけど、彼女の場合はすぐ立ち上がって、すぐ向かって、すぐ投げられて、すぐ立ち上がってというところはすごくよく見えました」

寝技の名手は「寝技は裏切らない」「手順通りにしっかりこなせば、間違いなく取れる」と口をそろえる。「浜田は1つのことをやり始めたら、言い方が適性ではないかもしれないですけど、病的なぐらいにやめないんですね。そういう志向がある。寝技は基本的には力を入れ続けて相手を制するまで詰め込んでいく。そういうところは適性があったのかなと思います」と吉村氏は話した。

人柄は明るく、大風呂敷は広げない。一つ一つ階段を丁寧に上っていくタイプだった。

吉村氏が浜田さんのことを、「本当に弱いので、人形のように投げられる」と言っておられるのには驚きました。何んと、そのような方が30歳でオリンピック初出場で金メダルを取ることができました。

別の箇所には、立ち技にはセンスが求められ、そのセンスが浜田さんにはなかったので寝技を極めたという表現もありました。

これはいろんなことに適用できるように思います。

以前、いろんな方々のご相談に乗りながら、精神科医の工藤信夫先生のアドバイスを受けていたことがありました。工藤先生は繰り返し僕に向かって「自分の相撲を取りなさい」とご指導くださいました。それは、目の前の人の気持ちに徹底的に寄り添うことが必要なカウンセリングであるからこそ、そこで自分らしい寄り添い方ができる必要があるということでした。そして、振り返ってみると、自分の寄り添い方のパターンで相談に乗ることができた時、比較的良い結果を見ることができたと思います。半面、相手の土俵に引き込まれたパターンになると、良い結果を見ることができませんでした。

私たちは小さいころから、自分の欠点を修正することによってバランスある成長ができると教えられてきました。しかし、本当に何よりも必要なのは、自分らしさのパターンを発見できることなのかなと思います。そして、自分らしさを現わせるパターンに持ってゆくための知恵こそ、物事をやり遂げるために大切にすべきことなのかと思わされています。

詩篇139篇14、15節には次のように記されています(私訳)

私は感謝します。恐ろしいほどに、私は不思議に造られました。

みわざがどれほど不思議かを、このたましいはよく知っています。

私がひそかに造られ、地の深い所で織りあげられたとき、

この骨組みは、あなたに隠れてはいなかったのですから。

あなたの目は胎児の私を見られ、あなたの書にすべてが記されました。

私のために準備された日々が、一日も始まらないうちから。

一人ひとりが、創造主なる神からユニークに創造されています。しかし、意外に多くの方々が、自分のユニークさを発見できずにいるような気がします。僕自身も長い間、自分の欠点を修正することばかりに目が向かっていました。しかし、欠点とセットに必ず、それを補う力が与えられているものです。それが発見できたとき、歩み方が変えられた気がしています。

オリンピック選手の活躍の背後に、それぞれの人生の物語があります。そして、それぞれの極めてユニークな物語に、何か共鳴できるものを発見できたらと思います。