主は道を作られる God will make a Way 〜詩篇77篇 

昨日の東京都のコロナ感染者数が107人と発表され、恐れが広がっています。それでも東京アラートが発令されないのは、感染状況を理解する基準が変わってきているからと報道されています。

それは、医療供給体制をより注視するようになったからとのことです。以前から、検査数が増えれば感染者数が増えるのは当然であると言われていましたが、検査数が発表されずに、感染者数ばかりが報道されることが問題なのかもしれません。

以前からご紹介していますが、ドイツのメルケル首相は、最初から、「感染者数が増えるのは避けられない。われわれが目標とするのは、感染拡大を防ぐことではなく、遅らせることである。それは医療供給体制を健全に保つためである」と言い続けています。ドイツの基準に近づいてきているのかもしれません。

多くの日本人は、わざわいに会うこと自体を必死に避けようとする傾向があります。それは当然の人情ですが、聖書の世界は、わざわいのただ中で神と出会い、神の救いを体験するということです。わざわいを避けるというより、わざわいのただ中で、神への祈りが深まり、そこに神のご支配を認め、そこから希望に導かれた行動が生まれます。

その意味で詩篇77篇は興味深い祈りです。

最初の告白、「私は神に声をあげて 叫ぶ……神は聞いてくださる」(1節) とは、聖書を貫く信仰の公式のようなものです。信仰とは、神との対話だからです。キリストですら、「大きな叫び声と涙をもって祈りと願いをささげ、その敬虔のゆえに聞き入れられました」(ヘブル5:7) と記されているとおりです。ところが、ときに、私たちの叫び声がまったく神に届いていないように思え、この告白が心に虚ろに響くことがあります。その混乱した気持ちを作者は、「苦難の日に 私は主を求め 夜もすがら たゆまず手を差し伸ばした。けれでも 私のたましいは慰めを拒んだ」(2節) と告白します。

以前、ある方をお見舞いしたとき、彼女は「私は神に委ねることなどできません!」と言っていました。どんな慰めも虚ろに響くように思える中で、「慰めを拒んだ」というこの祈りをともに祈らせていただいたところ、「こんな祈りがあるのですね……」とその方の表情が変わりました。

彼女は神に対して抱いている自分の怒りの気持ちを、神のみことばを用いて訴えることができたのです。これに関してあるドイツの宗教教育学者は、「このことばは、あまりにも素早く、あまりにも安易に与えられる慰めに、断固として抵抗する権利を容認してくれる」と興味深い表現で解説しています。「優しさ」という字が、「人」が「憂い」の傍らに立つと描かれるように、愛は痛みに共感することから始まります。慰めを拒絶したい気持ちさえ受け入れるのが「愛」の始まりです。

この著者は、「神を思い起こ」すことが、賛美ではなく「嘆き」を生み出し (3節)、また「思いを潜め」ることが、かえって「私の霊は衰え果てる」原因になると訴えます。実際、私たちも、主の御前に静まることで、葛藤が増し加わることがあります。しかし、そこに希望があります。それはその人の「嘆き」が、主に向っているからです。多くの人は、この詩篇を読み、「私の気持ちがここに記されている!」と不思議な感動を覚えます。それは、不安と悲しみで「息が詰まっている」たましいが、主に向って呼吸を始めるきっかけになります。祈りの基本は、主に向っての「呼吸」なのですから……。

しかも著者は、「昔の日々」(5節) の恵みや、心を震わせた「歌を思い起こす」(6節) ことが落ち込みの原因になると訴えます。それは、目の前の現実が、昔と比べてあまりにも悲惨だからです。ただ作者は、このように「自分の心のうちで思いを巡らし」たことを、飲み込む代わりに、その不敬虔とも言える気持ちを正直に表現します (7-9節)。

しかしそこで著者は突然、「私が弱り果てたのは いと高き方の右の手が変わったからだ」(10節) と言います。「右の手」とは神の民に祝福と勝利をもたらす神の力の象徴的表現ですが、自分の悲惨が神の御手の中で起こっているなら、神はこの悲惨な状況も簡単に変えられると期待できるからです。

著者はそこから、はるか昔のイスラエルに対する神のあわれみにまで遡ったことで、神のみわざに期待できるようになります。かつて悲しみをもたらした「思い起こし」が、希望と賛美を生み出すようになるのです。

祈り

主よ、あなたは私たちの心の奥底に潜む、あなたへの怒りや不信すらも、優しく受け止めてくださる方であることを感謝します。私の祈りの呼吸をさらに導いてください。


以下で、ドン・モーエンの God will make a Way「主は道を作られる」のコンサート動画をご覧いただけます。その後半部分に、絶望に沈む人や、この混乱に満ちた世界に希望が生まれるようにという祈りがささげられ、それがまたこの讃美につながります。

英語のままですみません。雰囲気を味わっていただければ幸いです。念のために、英語の歌詞と翻訳を下に記します。

God will make a way, where there seems to be no way.

神は、道を造ってくださる。道が何もないと見えるようなところにも。

He works in ways we cannot see, He will make a way for me,

神は、私たちが見えない方法で働かれ 私のために道を作ってくださる。

He will be my guide, hold me closely to His side,

神は、私の導き手であり、私をご自身のふところに抱いて、

with love and strength for each new day,

愛と力を 日々新しく与えてくださり、

He will make a way,   He will make a way,

神は道を造ってくださる。神は道を造ってくださる。

by the roadway in the wilderness He lead me

神が荒野の道に私を導かれることがあっても、

Rivers in the desert will I see;

私は砂漠の中に川を見ることができる。

Heaven and earth will fade but His word will still remain,

やがて、この天と地は滅び失せる。しかし、神のみことばは永遠に残る。

He will do something new today.

神は、今日も、何か新しいみわざをなしてくださる。

God will make a way, where there seems to be no way.

神は、道を造ってくださる。道が何もないと見えるようなところにも。

He works in ways we cannot see, He will make a way for me,

神は、私たちが見えない方法で働かれ 私のために道を作ってくださる。

He will be my guide, hold me closely to His side,

神は、私の導き手であり、私をご自身のふところに抱いて、

with love and strength for each new day,

愛と力を 日々新しく与えてくださり、

He will make a way, He will make a way,

神は道を造ってくださる。神は道を造ってくださる。

with love and strength for each new day,

愛と力を 日々新しく与えてくださり、

He will make a way, He will make a way,

神は道を造ってくださる。神は道を造ってくださる。