不当な訴えの被害者となった者の祈りの歌〜詩篇64篇

不当な訴えというのは、残念ながら人間の歴史から無くなることはありません。意外に身近なところでも本当に突然そのような渦中に巻き込まれることがあるかもしれません。

今回のアメリカでの黒人差別の問題が世界中の話題となっていますが、これを機に話題になっていることがあります。アメリカのある友人から紹介された話ですが、同じミネソタ州で、100年前のリンチ事件で3人の黒人が全くの無実で殺されたとのことです。それは一人の白人の10代の少女が、黒人にレイプされたと言うことで、6人の黒人が逮捕され、警察署に留置されていたときに、白人の暴徒に先導された5000人ほどが警察を取り囲み、警察もそれに応じて、3人の黒人を引き出し、暴徒たちがリンチを加えて殺害したというものです。

実際にはレイプの事実も、6人の関わりも、特に殺された3人の黒人の事実も不明のままに幕が切られている状態のようです。今でもダルースの町の人は皆そのことを知っているのですが、誰も話したがらないようです。それでも、すでに記念碑も建てられ、この6月15日には世紀の記念集会を予定していたとのことですが、コロナの危険のために開くことができなくなりました。

英語のままですみませんが、以下のような報道があったとのことです。

One Hundred Years Ago, a Lynch Mob Killed Three Men in Minnesota

詩篇64篇では神との交わりへの渇きが歌われていますが、この前半では特に、敵の攻撃に悩む姿がさらに強調されています。

1節は原文の順番では、「聴いてください!神よ」という叫びから始まり、「私の声を、私が嘆く時に」と続きます。

そして、「敵の脅かしから守ってください。私のいのちを」と訴えられます。「脅かし」とは、ダビデの敵が彼に現実的な脅威を及ぼしている現実を示しています。そして、神に向かって、「私をかくまってください!」と訴えながら、「悪を行なう者どものはかりごと」「不法を行なう者どもの騒ぎ」という二つの脅威からかくまわれることを願っています。

そしてその脅威とは、敵たちが「その舌を剣のように研ぎ澄まし、苦いことばの矢を放っています」という言葉の暴力です。著者は自分を4節で「全き人」と呼んでいますが、それは何の罪もないという意味ではなく、責められる理由がないのに、「隠れた所から」「不意に」いわれのない攻撃を受けることを意味します。

私たちの世界でも、自分にとって最も痛いところ、傷つきやすいところを狙い撃ちするように、言葉の暴力を浴びせる人がいるかもしれません。それほど、ことばは人を傷つける力を持っています。

5、6節は、敵たちが「悪事に凝って」「示し合わせて……罠をしかけ」「不正を企み」その「策略」を成し遂げるようすが描かれます。そして、それをまとめるように、「人の内なる思いと心とは 底が知れません」と告白されます。それは、人の悪意の深さを描いたもので、残念ながらそのような現実が人の心の奥底にはあります。

箴言16章27節には、「よこしまな者は悪を企む。その唇の上にあるものは焼き尽くす火のようだ」と記されていますが、「よこしまな者」の直訳は「ベリヤアルの者」、つまりサタンの手下という意味です。

私たちの最も傷つきやすい部分を見分けて、巧妙な弁舌で攻撃して来る者は、人間的には「賢い」ようでも、その現実はサタンに操られている者に過ぎません。サタンは「告発する者」とも訳すことができますが、「どのようなことばを投げかけると、相手が怯(ひる)むか……」などを研究している者は、闇の力の支配下にあります。

彼らの自滅の様子が7節から描かれます。それは「矢」を放とうとする敵に、神ご自身が「矢を射掛けられるので、彼らは不意に傷つきます」という、神ご自身の手による復讐です。そのことが、「彼らは自分の舌につまずきました」(8節) と描かれます。まさに、人を貶めた彼ら自身の言葉の暴力が、自分のところに帰って来るというのです。

そして、「彼らを見る者はみな 頭を振って嘲ります」と、攻撃者自身が、衆目の嘲りの対象とされるという逆転が起きます。その結果が9節で、「こうして すべての人は恐れ 神のみわざを告げ知らせ そのなさったことを悟ります」と言われます。

サタンに動かされて私たちを攻撃する人は、神の敵として自滅に向かっているのです。そのような霊的な現実を見ながら、私たちは彼らを憐れみ、彼らのために祈る必要がありましょう。

10節ではこの詩のまとめが、「正しい人は主 (ヤハウェ) にあって喜び 主に身を避けています。心の直ぐな人はみな 誇ることができます」と記されます。

私たちには、「キリストのうちにある者」としての勝利が約束されています。それを忘れてはなりません。

祈り

主よ、私たちは人の悪意の深さに驚き、怯えることがあります。しかし、主がすべての状況を支配しておられることを感謝します。主の公正なさばきにゆだねます。


以下でこの詩篇64篇の1、2節を切実な調子でうたった曲があります。Smokie Norful というゴスペルシンガーとして有名な黒人牧師が歌っています。彼は米国の福音自由の神学校を卒業した方です。

以下が歌詞ですが、この詩篇の1、2節をそのまま歌ったものです。

Hear my voice, O God, in my prayer:

preserve my life from fear of the enemy.

Hide Me from the secret counsel, of the wicked

from the insurrection of the workers of iniquity

Hear my voice, O God,

in my prayer:

preserve my life

from fear of the enemy.

Hide Me from the secret

Counsel of the wicked

from the workers of iniquity.

Hear my voice, O God,

in my prayer:

preserve my life

from fear of the enemy.

Hide Me from the secret

Counsel of the wicked

from the workers of iniquity.

Hear my cry, O God, O God, O God, O God, and please attend, attend unto my prayer

Hear our prayer O’ Lord

we can’t make it without you O, we need you now

hear my voice O’ God, O and in my prayer, preserve my life

from fear of, of the enemy

now unto Him who is able, to keep me from falling

Amen