エイミー・グラントの曲〜詩篇104篇

九州地区に恐ろしい豪雨が起き、多くの方々が被害に会っておられます。キリスト教会やクリスチャンの団体も間もなくそこで本格的な援助活動に入りますので、改めて、どのように支援できるかをともに考えて行きたいと思います。一方で、東京ではコロナ感染者が増加しており、何とも不安な日々が続きます。

つい最近まで、7月末は毎年のように生まれ故郷の北海道大雪山系をトレッキングしていました。そこで詩篇104篇を思い巡らしていました。しかし、そこは一瞬のうちに天気が急変し、恐怖に満ちた世界へと変わるところでもあります。

この世界の美しさと恐ろしさはセットになっています。テレビで水かさが増した川や洪水の様子を見るのは辛いですが、同時に、そこには本来、神が創造された世界の美しさもあるということを思い浮かべたいと思います。

私たちはそれらの美しさと恐怖をセットに見ながら、「創造主を恐れる」ということを覚えさせられます。そして、そこから人間の弱さを心から覚える時、そこに愛の交わりと助け合いが生まれます。

日本語の「自然」ということばは英語の nature の訳語として、仏教用語の「じねん」を充てたとのことです。そこには、「みずからしからしむ」という意味が込められています。もともと Nature にもラテン語の「生まれたもの」という語源があるようです。どちらも創造主を前提としない用語です。

それに対して、聖書の世界では、この世界のすべてのものは唯一の創造主の作品として描かれています。しかも、それは機械のような無機質なものではなく、創造主の「いのち」の輝きを現わすダイナミックな存在です。

そのことがこの詩篇104篇全体で美しく表現されています。私たちは美しい山々やその木々、川の流れ、大海、無数の星を見て、それらを神々としてあがめる代わりに、そこに私たち一人ひとりをも母の胎のうちで組み立ててくださった神のあわれみに満ちたご意思を見ることができます。それは、自然なことではなく、聖霊のみわざです。

あるとき高い山々を巡り歩き、大きな川の源流となる泉から水が湧き出るのを見ながら、「主は泉の水を谷に送り、山々の間を流れさせ」(10節) という表現が心の奥に迫ってきました。それが、天の神が地の谷の間に「泉を送った」という恵みのみわざとして描かれていたからです。その結果として、「野のすべての獣」がその水を飲み、木々が生えて「空の鳥」が「枝の間でさえずります」という感謝の賛美が生まれているのです。

そのことがさらに、「主は その高殿から山々に水を注がれます」(13節) と描かれます。当時の人々も「水が川から海へ、そしてまた山々の川へ」へという循環は理解していましたが (伝道者の書1:7)、それを決して、「自然」とは言いませんでした。この世界のいかなるものも「自然に生まれる」ことはありません。そのことが、「主は 家畜のために草を また 人が労して得る作物を生えさせます」(14節) と描かれます。たしかに人の労働によって作物ができるのですが、それを「生えさせる」のは、光や水の創造主ご自身に他なりません。

15-18節には、人間を含むあらゆる生き物の喜びが描かれますが、それらもすべては神の御手のわざの現れです。しばしば、神はこの地の上に「自然のサイクル」を造り上げて、それを天から見下ろし、必要に応じ、また、人の叫びを聞いて、その自然の中に介入すると解釈され、それが神の「奇跡」と呼ばれます。しかし、ここに記されているように、一瞬一瞬のできごとが神のあわれみの奇跡の連続なのです。

19-22節では、季節や日々の繰り返しが、神のみわざとして描かれます。そこで23節の「人は 自分の仕事に出て行き 夕暮れまでその働きにつきます」という記述は、私たちの労働自体が神の恵みのリズムの中で起きていることを強調したものです。「働くことができる」こと自体が、圧倒的な神の恵みのみわざの現れなのです。

そして24節ではそれらをまとめるように、「主 (ヤハウェ) よ あなたのみわざはなんと多いことでしょう……地はあなたのもので満ちています」と記されます。聖書によると、この地に、「自然に生まれるもの」などありません。すべてが創造主の御手のわざであり、すべてのものが、「その方のもの」なのです。そして、当然ながら、私たちの存在やいのちも、あわれみに満ちた「主のもの」です。一瞬一瞬が神の奇跡の連続なのです。

祈り

主よ、毎日が主のあわれみのみわざの連続であることを感謝します。この世界に「あたりまえ」なことも、「自然に生まれる物」もありません。日々の生活の中で私たちを、一瞬一瞬、神の御手のわざに感謝する「主のもの」とさせてください。


エイミー・グラント 1960年生まれ、全米でトップ・クラスのクリスチャン・ポップシンガーとして知られる方ですが、彼女が詩篇104篇24、25節を歌にしています。そこに美しい神の被造世界のビデオがセットになった画像を以下からご覧いただくことができます。

詩篇104:24、25

Oh, Lord, how many are thy works!

主よ、あなたのみわざは何と多いことでしょう

In wisdom thou hast made them all

あなたは知恵をもってこれらをみな造られました

The earth is full of thy possessions

この地はあなたの所有物で満ちています

There is the sea, great and broad

そこには大きく、広大な海があり

In which are swarms Without number

這うものや生き物は数え切れません

Animals Both great and small

大きな動物も小さな生き物も

Oh, Lord Thou hast made them all

主よ、あなたがそれらを造られました