衆議院議員選挙が終わり、今後の政局の動きが話題になっております。
長らくドイツの政局を身近に見て来た者として、今、起こっていることは極めて健全なことのような気がしています。
ドイツでは選挙が終わるたびに、どの政党も過半数を取ることができずに、連立協議が約一か月近く続きます。
伝統的にキリスト教民主党と社会民主党の二大政党が、第三の規模の政党と連立協議を組みます。昔は第三の政党が、経済における自由競争を大切にする自由民主党でした。でも約40年前から環境保護を大切にする「緑の党」が第三の勢力となって来ました。
たとえば、東日本大震災の際に、ドイツのメルケル首相(キリスト教民主党)が、ドイツを脱原発に動かしたと報じられることがありますが、そこには大きな誤解があります。
その前に社会民主党と緑の党の連立政権があり、脱原発を大切にする緑の党の主張が通って、脱原発に向けてのタイムスケジュールを組んだ法律が成立していました。
その後、メルケルさんが率いるキリスト教民主党が自由民主党との連立政権を造ったとき、前政権が決めた脱原発路線のタイムスケジュールを棚上げにする方向へと舵が切られました。
そこに東日本大震災が起き、メルケルさんが、「日本のような技術先進国でも原発事故を止められなかった……」と言って、この原発停止に向けたタイムスケジュールの「棚上げの撤去」を決めたということに過ぎません。
伝統的な二大政党が決められなかったことを、「緑の党」という新興勢力が強く主張し、政権入りを果たし、原発廃止に慎重だったキリスト教民主党をメルケルさんが動かすことができたということです。
このように第三党が存在することで、二大政党制では動かなかったことを、時間をかけて動かすことができるという仕組みが連立政権の面白さです。
今後の日本の政局がどうなるかは分かりませんが、石破さんまたは野田さんを軸に連立協議、または首相選出のための部分連立の可能性が模索されます。
石破さんも野田さんも、「誠実」を大切にする政治家と言われていますから、今後の協議に期待したいと思います。
議会制民主主義においては、選挙後の連立協議というのは極めて日常的なことです。そして、そのような動きを背後から動かしているのが、全世界の創造主である方です。これは陰謀論のようなものではありません。神は人を「神のかたち」に創造され、一人一人に決断能力を与えられました。
ただ、大衆はその時のムードで動きますから、時に、独裁政権による効率的な運営が求められます。しかし、権力は必ず腐敗し、自己の延命ばかりを求めるようになります。
そのようなときに、健全な連立協議がなされ、健全な少数意見に耳が傾けられるときに、政治が健全に機能します。
人間に自由な決定権を与えながら、それを背後で支配するのが創造主の支配です。今も、この世界を背後で動かしておられる方がおられます。
そのことを詩篇96篇10節では「主 (ヤハウェ) は王である」と告白されます。その文脈では、次のように歌うことが勧められています
主に帰せよ、国々の諸族よ。
主に帰せよ、栄光と力を。
主に帰せよ、御名の栄光を。
ささげものを 携え、主の大庭に入れ。
主にひれ伏せ、聖なる 威光 の前に。
御前でおののけ、地のすべてのものよ。
国々の中で語れ、「主は王である」。
それゆえ世界は堅く建てられ、揺るぐことはない。
やがて主は、公正をもって 人々をさばかれる。
自分の意に反する政治がなされても、主のご支配を信じて、忍耐を持って、神の平和を身近なところに広げて行くこと、今日、自分に問われている誠実な生き方を全うすること、それが私たちに求められていることです。
神が真の支配者であられるからこそ、「あなたの労苦は無駄にはならない」と言うことができます。