詩篇74篇〜ビル・ゲイツ氏の寄付の背後にある聖書のことばルカ12章48節

 先週土曜日のTBSのニュースキャスターの時間に、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏への単独インタビューが行われました。
 安住氏が、ゲイツ氏は聖書や百科事典を丸暗記しているという噂を聞いていたようで、それを訪ねたところ、彼は誰かの勧めで、聖書の箴言を丸暗記したことがあると答えていました。
 箴言には、何よりも高ぶることの危険や豊かさの罠が繰り返し説かれ、貧しい人を助けることの大切さが説かれています。

 今回、話題になっていたのは以下の多額の援助の動機でした。
 「ビル・ゲイツ氏は2000年にゲイツ財団を設立し感染症・貧困・予防可能な母子の死をなくすことを目標として累計12兆円を支援してきた。今年5月には自身の財産を含む財団の資金を合わせた約30兆円を2045年までに、ほぼ全額を支援に回し使い切ると発表した」。
 30兆円の寄付とは日本の年間の国家予算の三割にも相当します。

安住氏がその動機を尋ねたところ、彼は、「それは父母から繰り返し以下の聖書のことばを聞かされてきたからだ」と超えたました。
 それはルカによる福音書12章48節のことばです

多く与えられた者はみな、多くを求められ、
多く任された者は、さらに多くを要求されます。

 これは貴族の義務(フランス語でノブレス・オブリージュ)英語で Noble’s Obligation と呼ばれます。

 僕はビル・ゲイツ氏の思想信条についてはほとんど知りません。超有名人ですからいろんな批判にさらされることもあることは知っています。
 しかし、彼が自分の多額な寄付行為の背後に、聖書のことばがあると語ったのは、まさに真実な正直なことばだと思います。
 彼はこの点においては、「そうせざるを得ない」という促しを、神様から受けいてのでしょう。
 全世界の創造主はいろんな形で人の心を動かします。私たちはビル・ゲイツを動かす神に目を向けるように導かれています。

詩篇74篇は神の救いが見えない中で、どのようにこの地に神のご支配を見るべきかが記されています。

詩篇74:1–4、9–11、18–21「なぜ、いつまでも(永久に)拒み……」

 これはアサフの子孫が、エルサレム神殿がバビロン帝国によって廃墟とされた後に記したものです。それは神がレビ記26章や申命記28、29章で警告しておられたことですから、詩篇作者は、わざわいの原因が自分たちの罪にあることは十分わかっています。
 それにも関わらず著者は、「神よ なぜ いつまでも拒み 御怒りを……燃やされるのですか」(1節) と訴えます。それは、神の御怒りが「いつまでも(永遠に)」続くように思えるからです。
 そして2節では、「どうか思い起こしてください」と言いながらイスラエルの歴史と、神の「住まい」であった神殿の跡について述べ、3節ではさらに、「あなたの足を 永遠の廃墟に踏み入れてください」と訴えます。
 この「永遠の」とは原語で先の「いつまでも」と同じ単語が使われています。それは事実ではなく、作者の感想であり、早くこの状況を変えるために、神が動き出してくださるようにという訴えです。
 その上で3節後半から8節まで、神の「敵」が神の聖所を汚している恐ろしく悲惨な状況が、また9節では神の民が希望を失っている状況が描かれます。
 
 そして10節では、「神よ いつまで はむかう者はそしるのですか。敵は 永久に 御名を侮るのですか」と訴えられます。ここでの「永久に」も先の「いつまでも」と同じ言葉です。
 そして11節では、「なぜ あなたは御手を 右の御手を引いておられるのですか。その手を懐から出して 彼らを滅ぼしてください」と大胆に祈られます。
 著者は、神がご自身のみこころを変えてくださるなら、この状況はたちどころに変えられると信じているからです。
 18節では、主に向かい「心に留めてください。敵がそしり 愚かな民が御名を侮っていることを」と訴えられます。これは10節同様、神の御名が侮られていること自体を問題にしたものです。
 さらに19節では「あなたの悩む者たちのいのちを永久に忘れないでください」と訴えられますが、この「永久に」も先の「いつまでも」と同じ言葉です。

 20節では「どうか 契約に目を留めてください」と訴えられます。それは、神の契約には、民の罪に対するさばきの警告と共に、そこから神が民に繁栄を回復してくださるという約束が記されているからです。
 人はときに、苦しみの時間は永久に続くように感じるものですが、神の「契約」の目的は、御名が永遠にあがめられることです。ですから21節では「苦しむ者 貧しい者が 御名をほめたたえますように」と祈られます。

 神の「契約」には「永遠の」目的があります。それは、「主 (ヤハウェ) を知ることが、海をおおう水のように地に満ちる」(イザヤ11:9) ことです。そのときに、世界に完全な平和(シャローム)が実現します。
 著者は、主がいつまでも拒むこと、神殿が永久の廃墟になること、永久に御名が侮られること、民のいのちが永久に忘れられることを問題にしながら、神がご自身の民に、救いの御手を差し伸べることがご自身の御名の栄光につながると、まるで神を説得するかのように訴えています。
 私たちはときに、「自業自得の苦しみだから……」と悲惨を受け入れることが信仰だと思うことがあるかもしれません。しかし、それは運命論的な諦めと似ています。神は私たちが必死に訴えかけることを喜んでくださいます。ご自身の御名の栄光こそが、世界全体の祝福につながるからです。


【祈り】主よ。私たちが苦しみに会うとき、運命的な諦めの気持ちに陥らないように、私たちの心のうちに祈りを起こしてください。あなたの御名が真実にあがめられますように。