詩篇21篇〜ドイツ議会の選挙——政治の限界を認める

 ドイツ議会の選挙が行われ、今後の歩みが懸念されております。

 政権第一党が、以前の社会民主党から キリスト教民主、社会同盟に代わりました。以前のメルケル首相の政党です。

 何よりの驚きは、不法移民の国外退去を、脱原発政策の修正などを訴える右翼政党と呼ばれている「ドイツのための選択肢」が、20%を超える得票を集め、社会民主党を抑えて第二政党となったことです。
 政党のリーダーは熱いパッションで分かりやすい話ができる女性党首です。米国のイーロンマスク氏が応援しているということで話題になっています。

 僕が今回、何よりも驚いたのは、今まで政権のキャスティングボードを握っていた自由民主党が5%未満の得票率で議席を失ってしまったことです。これは二回目のことですが、一番、経済的な自主性を重んじる保守政党が議席を取れなかったことは驚きです。この党は、先の社会民主党、緑の党 とともに連立政権を担ってきましたが、社会民主党の財政規律を無視した政策を批判して政権から離脱しました。その結果が、今回の総選挙に繋がっています。

 とにかく右翼と呼ばれる政党が、社会民主党を抑えて第二党となり、環境保護を訴える緑の党も議席を減らした一方、今まで聞かなかった「左派党(リンケ)」と呼ばれる政党が議席を獲得しました。
 
 興味深いのは以前、右翼と呼ばれる「ドイツのための選択肢」党首のワイデルさんが、自分の政党とヒットラーを重ねる人に対して、ナチスは右翼ではなく左翼(リンケ)であったと述べたことです。それは、個人の自由よりも、大きな政府によって経済を立て直そうとするからとのことです。
 少なくとも、右翼と呼ばれるドイツのための選択肢と、ナチスを重ねる人が大幅に減った結果として20%もの得票を得ています。

 それと同時に、今回の総選挙では、人口の80数%もの人々が投票したということで、歴史的な高得票率でした。そこにドイツ人の危機意識が現れています。

 しかし、その結果として、右翼と呼ばれる政党と、左翼と呼ばれる名を冠した政党が大躍進し、ドイツ政治のバランスを維持する働きをしていた自由民主党と呼ばれる中道政党が議席を失っていることです。

 多くの有権者は、極端な主張をする政治指導者の意見に流される傾向を持っています。その結果、右の極端と左の極端の政党が力を持ちました。
 その両極端ばかりが政治的な力を持つ状況は、ヒットラーが生まれたときの政治と似ているという危機感もあるようです。
 伝統的な政党にも問題があることは明らかですが、少なくとも政権を担ってきたことのある政党は 「あちらを立てれば、こちらが立たず」という、政治の難しさを理解しています。
 この世の政治は本当に大切なのですが、真の政治家は、政治の限界を良く知っています。

 前回に引き続き、この地上の政治に関する祈りが詩篇21篇に記されています。この世の政治の難しさから、それを超えたキリストの支配への憧れが歌われています。その背後には、人間の知恵による支配の限界を認めるという現実的な視点が隠されています。

詩篇21篇 ダビデの子の支配が全地に

 1–6節で会衆は、神に向かって「あなた」と呼びかけながら、「王」に与えられた「御救い」と「祝福」を喜び楽しみます。20篇1節で「苦難の日」から始まった祈りが、「彼のかしらに純金の冠を置かれます」(3節) という驚くべき展開になっています。

 「彼(王)はあなたに、いのちを請い求めました。あなたは彼に、とこしえまでの長い日々を与えられました」という告白は、神がダビデの祈りに応え、ダビデ王家を永遠に立てると約束してくださったことを思い起こさせます。
 そして、これは、ダビデの子であるキリストにつながる私たちにおいても成就し、「永遠のいのち」が保障されています。
 そして、5節の「栄光」「尊厳」「威光」も、私たちに同じように約束されています。

 7節では、「王は主 (ヤハウェ) に信頼し……ゆるがない」と述べられます。
 その上で、8–12節において「あなた」の「あなたを憎む者ども」に対する勝利が描かれます。
 ですから、「あなた」とは、主ご自身であるとも、理想的な「王」であるとも受け止めることができます。
 9節で「主 (ヤハウェ) は御怒りによって」と記されているので、「あなた」とはキリストを指すとの解釈が正しいと思われます。

 ですから、10節で「あなたは、地の上から、彼らのすえを滅ぼされましょう」というのは、ダビデの子である理想的な王、メシヤ(救い主)の支配を意味すると考えられます。
 それは詩篇2篇8、9節で、神の御子が地の果てまでを支配し、「鉄の杖」で敵を打ち砕くと預言されているのと同じです。
 ふたつの「王の詩篇」の結論が、ダビデの肉の子である地上の「王」ではなく、救い主としてのダビデの子の「王」の支配の完成に向かうということは何と興味深いことでしょう。
 黙示録19章15、16節では、「この方は、鉄の杖をもって彼らを牧される……その着物に……『王の王、主の主』という名が書かれていた」と記されています。
 私たちの主イエスは、最終的にこの地を完全に支配する力強い「王」であられます。ハレルヤ!


【祈り】 王のための祈りが、理想的な王であるキリスト預言に通じていることを感謝します。キリストの支配が全地に広がるように、私たちをもお用いください。