私はいつも、目の前に主 (ヤハウェ) を置いた。
主が右におられ、私は揺るがされないから
詩篇16:8
昨年2月20日過ぎからの約一週間で、ニューヨークのダウ平均株価が29,000ドルから25,000ドル水準へと大暴落をしました。理由はもちろん、感染爆発の予兆があったからです。しかし、その時点で、米国の死者数はゼロでした。日本のダイヤモンドプリンセス号での感染爆発が世界的なニュースになっていた程度でした。いち早く危機に気づいたのは、地方の保健衛生官の医師や、救急医療の現場で働く医師たちでした。米国の CDC(疾病対策センター)がようやく危機感をもって発表したときに、上記のような株の大暴落が起きました。
それをみて、当時のトランプ大統領が CDC に発表に激怒し、ペンス副大統領のオフィスからは、「今後、保健福祉省の誰ひとり、国民を不安にさせるような発言をしてはならない」という命令が出されました。
そのような初期対応の遅れのために、米国では4月に毎日2,000人を超える死者数を出す大パニックに陥ります。現在までの米国の累計死者数は約66万人、ドイツは92,600人余り、日本は16,850人余りです。
ただ、米国ではどの国よりも早くワクチンが開発されました。政治信条の対立や保険制度の弱さのゆえに感染の広がりが大変な事態になっていますが、草の根の協力体制には驚くべきものが見られます。
日本の場合もそうですが、官僚機構が肥大化すればするほど、このような緊急事態への対応はできなくなります。みんな自分の地位が脅かされるのを恐れて、言ううべきことが言えなくなります。
米国でベストセラーとなった「最悪の予感—パンデミックとの戦い」(マイケル・ルイス著)では、官僚機構の抵抗に会いながら、危機意識を抱いた保健衛生官や緊急医療の従事者が、政治を動かして行くようすが描かれています。最終的に、その主人公の女性は、民間組織を立ち上げて全米のシステムに影響力を発揮する方向へと舵を切ります。
そこで、改めて思わされたのは、一人ひとりが責任をもって危機に対応しようとする勇気です。
私たちがそのような動きをしようとするときに、何よりも支えになるのが、冒頭の詩篇16篇ではないでしょうか
私はいつも、目の前に主 (ヤハウェ) を置いた。
主が右におられ、私は揺るがされないから