コロナ前への復帰を望むな〜イザヤ43:18、19

新型コロナウィルスの感染爆発がますます勢いを増しており、気が滅入る毎日ですね。私たちは早く、コロナ前の世界に戻りたいと思います。それが人情です。僕の母は北海道の施設に入っており、この一年半、面会がまったく許されません。その間、ますます老化が進み、最近は、電話での会話も成り立ちにくくなってきました。マザコン息子としては、とっても心が痛みます。

しかし、私たちはこのコロナ蔓延を通して、いろんな新しいことを学んでいるのではないでしょうか。何よりもコロナの恐怖は、地球上のすべての人に、かなり平等に及んでいます。私たちはコロナによって、全世界的な協力関係の構築を大切に考えるようになってきています。そして、コロナ前の様々な問題に、一歩距離を置いて、今、本当に大切なことは何なのかを考えるようになっています。

以下は、ドイツの哲学者 のインタビュー番組です。30分近くありますが、いろいろ考えさせられます

まず最初に、「コロナ前への復帰を望んではならない」というショッキングな警告から始まります。それはまさに聖書的な視点でもあるかと思います。

イスラエルの神ヤハウェは、イスラエル王国が滅亡に向かう中で、そこに神の新しい創造のみわざを見るようにと勧めました

先のことに心を留めるな。
昔のことに目を留めるな。

見よ。わたしは新しいことを行う。
今、それが芽生えている。

あなたがたはそれを知らないのか。
必ず、わたしは荒野に道を、
荒れ地に川を設ける
イザヤ43:18、19

ガブリエル氏は、またその著書の中で、昔のカール・マルクスのことば「宗教は民衆のアヘンである」に対抗することばとして、「科学は民衆のアヘンである」と語っています。毎日のニュースで、感染者数や死亡率、再生産率などの数字ばかりに目が向けられすぎて、長期的なビジョンが語られないからです。

彼は「精神のワクチン」こそが大切だとも述べています。

小生も何度も書いていますが、この状況の中で多くの方々の孤立化が進んでいます。ドイツのメルケル首相などは、国民向けに感染対策を勧めながら、そこで必ず、孤立する方々への配慮や対応に関して、感情を込めて具体的に私たちができることなどを勧めています。

感染対策と共に、経済や文化をどのように守るかということにも目を留めるように勧めています。ガブリエル氏は、若干の留保をつけながらも、メルケル首相を史上最高の倫理的な政治指導者であるとも称賛しています。

ガブリエル氏は、「なぜ世界は存在しないのか」というベストセラーになった書物で、私たちが無意識のうちに、「世界は、こんなものだ」と思い込んでいる価値観を崩し、世界は私たち一人ひとりの創造的な協力作業によって作られて行くということを強調しています。

従来の価値観を全否定するのではなく、私たちそれぞれの感性や価値観の一つ一つを見直し、それを積み上げて行くような共同作業が必要なのだと勧めています。

感染爆発は世界中の人々に様々な発想の転換を迫っています。

今ここで芽生え始めている「新しいこと」を積極的に見出す視点が大切なのかと思わされています。それはみんながともに考えてゆくことなのかと思わされています。

感染爆発の中で、何らかの夢を共有できればと願っています。