主人公の音楽家が、海軍航空隊の予科練生を励ます「若鷲の歌」を作曲します。この曲は、後に予科練の若者を特攻隊として送り出す歌として用いられます。
その後の流れを懸念しているのか、五郎くんは「若者を無駄死にさせるような歌を作らないでほしい」と裕一に迫り、裕一は「無駄死になどと言うな!」と厳しく応答します。
五郎が聖書を置いて行き、裕一が何気なく開いた聖書から、以下のみことばが出てきます
「悪を離れて 善を行い 平和を求め それを追い続けよ」(詩篇34:14)
この聖書のことばが今後、どのような意味を持ってくるのか、期待したいところです。ただ、これは国家の戦争行為を批判する以前に、人と人との関係を平和に保つ知恵として記されているみことばです。
これはペテロの手紙第一3章では、「みな、一つ思いになり、同情し合い、兄弟愛を示し、心の優しい人となり、謙遜でありなさい。悪に対して悪を返さず、侮辱に対して侮辱を返さず、逆に祝福しなさい。あなたがたは祝福を受け継ぐために召されたのです」(8、9節) と記され、その勧めの前提として詩篇34篇11-16節のことばが引用されます。
以下は、この箇所の私訳です。なお、この詩篇は各節がヘブル語のアルファベットの順番に並ぶように作られており、以下の部分は、特に親が子どもたちに語って聞かせるという形式になっています。
第二次大戦中、日本の大人たちは子どもたちに向かって、「お国のために命を献げる」ことを励ましながら、戦後になると、自分たちには責任がなかったような態度へと変わります。それほどに時代の精神は変わりやすいものです。
それに対して、以下のみことばは永遠に変わることのない真理を私たちに教えてくれます。
来なさい。子たちよ。私に聞きなさい。 (11)
主 (ヤハウェ) を 恐れることを教えよう。
だれでも、いのちを喜び、 (12)
幸いな日々が続くのを望むなら、
舌に悪口を言わせず、 (13)
唇に欺きを語らせず、
悪を離れ、善を行い、 (14)
平和 (シャローム) を求め、追い続けよ。
主 (ヤハウェ) の 目は 正しい人を顧み、 (15)
その 耳は 彼らの叫びに傾けられる。
主 (ヤハウェ) の 御顔は 悪をなす者に立ち向かい、 (16)
彼らの記憶を 地から消し去る。