立川チャペル便り「ぶどうぱん」2013年夏号より
献堂式メッセージ要約
新会堂のステンドグラスは、Glass House NEN 代表の尾崎稔成氏の作品で、聖書が描く「新しい天と新しい地」(イザヤ65章17-25節) の希望を描いたものです。
色のついていないガラスは、この目に見える地上の世界を現します。しかしそこに、鮮やかな黄色で表現された天の神からの輝く光、鮮やかな青色の神からのいのちの水の川が流れ込んでいます。紫の色は、輝く天を示しています。ここに描かれた天と地は、平和に満ちた天がはるか上にあって、混乱と悲しみに満ちた地が、分かれて下にあるのではなく、天の支配が地に広がってくるイメージ、天の神から生まれた、いのちの光と水が、この地を支配する世界を指し示しています。
この教会堂は、天の神のご支配がこの地に広がりつつあることを思い巡らす場所です。この地では、せっかく額に汗して働いても、勤労の実を他人に奪われるという不条理や、せっかく家を建てても自分が住むことができないなどという不条理が起こり得ます。しかし、キリストが私たちの身代わりに罪の呪いを受けて十字架にかかってくださったことによって世界が変わり始めました。
このステンドグラスの十字架は、製作者が深く悩んだものの結晶です。私たちもともに考え、最終的に、光を通す透き通った十字架にしていただきました。私たちにとっての十字架は、死の力が滅ぼされたしるしです。十字架はもっとも忌まわしい死刑の道具でしたが、今や、神がキリストにおいて罪と死の力に打ち勝ってくださったしるしになったのです。ですから、十字架は神の光に満ちた世界への門へと変わりました。
この地では羊が天を仰ぎ見ています。製作者は、このいのちを描きながら、何か不思議な感動に満たされたとのことです。私たちは、この地でうめきつつ、天の神のご支配がこの地の上に広がることを待ち望んでいます。それがこの羊に象徴されています。
そして、右上に描かれた鳩が下る姿は、この地に聖霊の支配が広がることの象徴です。
「新しい天と新しい地」は、最終的に目に見える形で現れますが、その前に、神はその前味を私たちに示してくださいます。現実の信仰生活では、祈りが全然聞かれないと思えるようなときもありますが、この世界の歴史は、神の平和が満ちる世界へと確実に向かっています。
ただそれは、山あり谷ありの成長のプロセスです。私たちの人生には、ときに、神のご支配がまったく見えなくなるという暗やみの日々もありますが、天にはすでにキリストの勝利の歌、ハレルヤ・コーラスのようなものが響いています。キリストの支配はすでに始まっているからです。
「新しい天と新しい地を待ち望む」という信仰の歩みは、決して現実逃避ではなく、厳しい現実に向き合うことを意味します。「労苦が無駄にならない」ということを信じて、この矛盾と争いに満ちた目に見える地の上に、神の平和を広げるために、地の塩、世の光として遣わされることです。