お金と信仰
人は「お金」とどう向き合えばよいのか?

お金と信仰

キリスト教会で、あまり語られないこの課題に、元証券マンで現在は牧師として活躍する著者が、聖書から、また日本社会の経済状況から答える。

発売日:2014年5月7日
発行:地引網出版
ISBN:978-4-901634-28-1

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CGNTV Japan「本の旅」インタビュー


「はじめに」

お金と信仰との関係は微妙です。神を信じればお金持ちになれるという短絡的なご利益信仰は危ないですが、でも反対に、信仰者はお金のことを考える必要はないという発想は、もっと危険です。なぜなら、お金の計算ができない人は、どこかで必ず人に迷惑をかけるからです。

またそれとは反対に、お金のことを心の中で意識し過ぎる結果として、「私はお金のことなど気にしません」と敢えて公言する人がいます。パリサイ人は律儀な道徳家と見られていましたが、イエスが、「不正の富に忠実」であるようにと不思議なことを語ったとき、それをあざ笑いました。聖書は彼らのことを「金の好きなパリサイ人たち」(ルカ16・14)と呼んでいます。お金が好きな人に限ってお金の話を軽蔑することもあるからです。しかしイエスは、その誘惑から自由だったからこそ、驚くほど頻繁にお金を題材とした喩え話をされました。

お金が偶像になるのは、それが私たちの日々の生活にとって何よりも大切であるというしるしでもあります。そのことを覚え、「お金と信仰」に関して、聖書と経済学の両面に目を向けながら記させていただきます。

なお、経済学と経済現象に関係する部分については、日本大学経済学部教授の曽根康雄氏にも記事の正確性に関して確認していただきました。曽根氏は以前、野村総合研究所の香港現地法人に勤務し、エコノミストとして国際金融の最前線の現場を経験し、理論と現実両面を観察して来られた方でもあります。

なお、本論を通して市場経済の有効性を語りますが、それはあくまでも、政治権力による経済管理よりは有効であるという意味で、市場経済を絶対化するという意味では決してないことはあらかじめ念を押させていただきます。私自身も証券市場での働きに身を置きながら、そこにある様々な矛盾に悩んできた経緯があります。ただ、それを必要以上に悪く見ることにも危なさを感じているというのが本論での一貫した趣旨です。

本書を手にされた方が、「お金と信仰」の関係についてバランスを持って考えるきっかけとされればと切に願っております。