〈第五部のまとめ〉

この部のまとめとして、ルカの福音書に記されたイエスの不思議な説教を思い起こしたいと思います(次ページ参照)。イエスはこの世の幸福の概念をひっくり返されました。それは決して、共産主義者たちが嫌悪した「天国を夢見ながら、この世の不条理を奴隷のように耐える」という勧めではありません。ここには、イエスが「今、ここで」、私たちに真の「幸い」を与えることができるという確信に満ちた約束が込められています。この世の幸いがイエスとの交わりの障害となり、この世の不幸がイエスとの交わりを豊かにする上で用いられるという現実があるからです。

ルカの福音書六章二〇〜二六節 「平地の説教」

イエスは目を上げて弟子たちを見つめながら、話しだされた。

「貧しい者は 幸いです。 神の国はあなたがたのものだから。
いま 飢えている者は 幸いです。 やがてあなたがたは満ち足りるから。
いま 泣く者は 幸いです。 やがてあなたがたは笑うから。
人の子のため、人々があなたがたを憎むとき、
あなたがたを除名し、辱め、あなたがたの名をあしざまにけなすとき、
あなたがたは 幸いです。 その日には喜びなさい、おどり上がって喜びなさい。
天では あなたがたの報いは大きいから。
彼らの父祖たちも、預言者たちに同じことをしたのです。

しかし、あなたがた富む者は 哀れです。 慰めをすでに受けているから。
いま 食べ飽きているあなたがたは 哀れです。 やがて飢えるようになるから。
いま 笑うあなたがたは 哀れです。 やがて悲しみ泣くようになるから。
みなの人が ほめるとき、
あなたがたは 哀れです。 彼らの父祖たちも、にせ預言者たちに
同じことをしたのです。」


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