第一部 世界と私を美しく創造してくださった神への賛歌

私たちの心は自分に向かいすぎると機能不全に陥ります。しかし、どのようにしたらこの自意識過剰のわなから自由になれるのでしょう。

私は、長い間、人の目を過剰に意識する自分を恥じていました。しかし、そのような自分を正そうと思えば思うほど、自分の心の目はかえって自分に向かってしまいました。また、キリストを主と告白しても、頭では、「私たちは、神の栄光のために生きるように召されています」と自分に言い聞かせながら、自分の心の目は、神の栄光をたたえるよりは、自分の信仰の姿勢を測る方向へと向かうばかりでした。

そのようなときに、以下の四つの詩篇は、そんな私が少しでも自分から自由になるために、本当に大きな導きとなりました。これこそ、賛美の中の賛美、霊感されたみことばを用いた最高の賛美です。

「神をたたえるとは?」などと考える前に、これらの詩に自分の心を合わせて、創造主なる神を賛美してみてはいかがでしょう。これらは、理性でその内容を理解しようとすることも大切ですが、何よりもまず何度も朗読し、リズムを心で味わっていただきたいと思います。

なお、ヘブル語原文の美しさを翻訳することは不可能に近いですが、少しでもそれに近づくことができるように、十数年にわたって何度も見直しを重ねてきたつもりです。できれば礼拝や祈祷会、家庭礼拝などの際の交読文としても用いていただくことができるように、構成に気を配っておりますので、ご利用いただけるなら幸いです。

様々な形の賛美の歌が生まれ続けているのと同じように、詩篇によって主を賛美する際にも、 様々な翻訳や読み方があってもよいのではないでしょうか。

詩篇一九篇は、多くの人々から、「世界でもっとも偉大な詩」と言われています。驚くほど美しいリズムで、神の創造のみわざと神のみことばのことが歌われています。

詩篇一三九篇は、神が全世界を愛のうちに治めておられることを歌ったもので、そこから「存在の感謝」が生まれます。それはこの自分が神によって生かされているという感動です。

詩篇八篇は、キリスト預言として新約聖書で繰り返し引用されますが、それは同時に、神の視点から自分を見て、自分がどのように生きるべきかを指し示す詩でもあります。

詩篇九六篇は、「賛美の中の賛美」とも言われる美しいリズムの三行詩ですが、ここにはこの世界がどこに向かっているかが歌われ、そこから私たち自身の使命が発見できます。


次へ目次前へ