ロゴセラピー〜詩篇139篇14節

先週になって20年ほどまえに一度だけお話を聞いた心理セラピストの方からご自身で記されたご本をお送りいただきました。

「ロゴセラピーと物語」フランクルが教える〈意味の心理学〉
著者 勝田茅生(かやお)さん

私自身もフロイト、ユング、アドラーなどの心理学の本は読んできていますが、誰よりもしっくりくるのは、ナチスの強制収容所を生き残ったユダヤ人精神科医のビクトール・フランクルの考え方でした。ギリシャ語のロゴスは「ことば」とも訳せますが、「意味」とも訳すことができます。ロゴ・セラピーの「ロゴ」とはロゴスの略で、人生の意味を再発見する心理療法と言えます。

著者の勝田氏は長らくご家族とともにドイツにお住まいで、フランクルの愛弟子のお一人から訓練を受け、日本人として初めてロゴ・セラピストの資格をお取りになられた方です(二人の息子さんの母親です)。この本には中国や日本の昔話も取り入れながら、人生の意味を見直すことができるための極めて分かりやすい話が記されています。

僕自身としてはロゴ・セラピーは受けたことも、学んだこともないのですが、ここに記されていることは、まさに自分が紆余曲折を経ながら、自分にとっての確信に導かれてきた牧会カウンセリングの手法にぴったりと合うもので、このようなご本を読ませていただけたことに、涙が出るほどに感動しております。

僕自身が自分自身の神経症的な生きにくさに悩み、どうにか自分を変えたいともがいて来ました。しかし、そう考えれば考えるほど、自分自身の不信仰を責め、自己嫌悪に苛まれるばかりでした。しかし、あるとき、詩篇139篇14節のみことばが心に深く響きました

私は感謝します。恐ろしいほどに、私は不思議に造られました(私訳)

この私は、どうしようもないほどの欠点を抱えたままで、神の最高傑作であるということが分かりました。それは、私たちには、どうしようもない欠けとセットに、それを覆って余りあるほどの長所が与えられているからです。

しばしば過去の心の傷などに注目するセラピーは、自分の問題ばかりに目を向かわせ、結果的に、自分を神にとっての失敗作かのように見させることになることがあります。

しかし、私たちはそのような問題を一つ一つ乗り越えながら、今まで生きてくることができました。人には固有の弱さととセットにそれを補う力が与えられています。その補う力の方に目を向けるところから、その人の輝き方が見えてきます。

私たちにはそれぞれ、神から与えられたミッションがあります。その人の生きにくさは、ある意味で、その人固有のミッションに生きていないことの結果とも言えるかもしれません。

今年、拙著「心が傷つきやすい人への福音」を仕上げる過程で、改めて今までお付き合いいただいた人々の話を聞くことができました。

それを通して、自分自身の生きにくさに向き合ってきたことが、他の人の心のいたみへの共感力につながっているということに改めて感謝できました。

フランクルは、自分が使命を探すのではなく、使命があなたを探しているとも言っています。この世界の様々な問題に向き合いながら、「これは放ってはおけない……」と感じること自体に中に、あなたのミッションがあります。

この世の基準で自分をはかると、いつまでたっても自己嫌悪の材料はなくなりません。しかし、あなたにしかできない、またあなただからこそできる働きや、人との関係に目が開かれるときに、自分を神の最高傑作と見ることができるようになるのではないでしょうか。

は、アマゾンで送料無料で、たったの1760円で買っていただけます。僕の話を聞くよりずっと分かりやすいことが書いてあります。一日で読み終えた後、何度も読み直したくなるような本です。