フィンランドNATO加盟申請——平和の理想と現実〜イザヤ65章

ロシアと長い国境を接するフィンランドが、正式にNATOという西側の軍事同盟への加入を申請しました。今回のロシアのウクライナ侵攻によって、ロシアに対する警戒感が急速に高まったためと言われています。この国は人口が553万人と小さな国で、長らく帝政ロシアの支配下にあり、ロシア革命の際に独立を果たしました。ただ、第二次大戦時には、ドイツのポーランド侵攻に合わせるように、ロシアを中心とするソビエト連邦の露骨な侵略を受けました。それでも圧倒的なソ連の軍事力に屈することなく、堂々とソ連の軍隊と戦いを続け、第二次大戦後も、大幅に領土を削り取られながらも独立を保ってきました。そのしたたかで現実的な外交力は世界から高く評価されてきたとも言えましょう。

今や、一人当たり国民所得では日本を四割近くも上回っています。一人当たりの国民所得では、ドイツ、イギリス、フランスを上回っているばかりか、ロシアの何と4.5倍のレベルに達しています。EUの中でも優等生的な国になっています。多くのロシア人にとっての憧れの国かもしれません。

歴史的にロシアに対する警戒感は、驚くほど強く、ロシアの刺激するようなことはしない、したがって中立的な立場をいつも明確にすることを国是としていました。しかも、徴兵制が徹底されている国で、幼い時から、ロシアとの戦いの可能性があること、また国を守るために命をかけることを教え込まれてきています。

そのようにロシアに向き合って来た国が、NATOに加盟申請をするということは、まさに国際政治の大きな転換点と言えましょう。

先日、フィンランドのマリン首相が来日しました。男性優位が愚かなほどに残っている日本人の目には、失礼ながら、「こんな若い女の人に国を任せて大丈夫?」と映ったかもしれません。しかし、今回の決定には大多数の国民が賛同しているようです。伝統的にプロテスタント・ルター派が国の宗教で、日本にも宣教師を派遣してきました。私が洗礼を受けた札幌のルーテル教会もそのフィンランドの宣教師から始まった教会でした。

聖書の理想は、世界全体のシャロームです。それはイザヤ書65章17節で、主ご自身が「見よ、わたしは新しい天と新しい地を創造する」という言葉から始まり、そこで実現される平和の世界が、「狼と子羊はともに草をはみ、獅子は牛のように藁を食べ」(65:25) と描かれています。それは全世界の民が、キリストの支配を喜ぶときに実現すると記されています (イザヤ11:10)。

最近はオリンピックの開会式のたびにジョン・レノン とオノ・ヨーコ共作による「イマジン」という曲が歌われるようになってきました

以前、このイマジンと聖書が描く「新しい天と新しい地」に関してメッセージビデオを作りました。(ヘブル書の連続ネット講義の一環でした)今は、このビデオはどなたにでも見ていただけるようになっています。約10分余りのショートメッセージです。

昨日、教会員のあるご婦人から、「他教会の方で、高橋先生のビデオメッセージを聞いて感動した」という声を聞いたのですが、私たちにも紹介してもらえませんか……というメールがきました。

一応、昨年のオリンピックの開会式のあとにご紹介しているのですが、改めてご紹介しますので、お時間のある時にご覧いただければ幸いです。

一見、キリスト教に批判的な歌のようでありながら、実は、聖書が描く平和(シャローム)が美しく歌われています。そこには失われたエデンの園への憧れがあります。 ただ、現実の世界では、ロシアのような横暴な国はいつも存在しています。私たちは、国境もないような平和な世界をいつでもどこでも夢に描きながら、その夢を世界中の人々と共有するということが大切ですが、現実に、ロシアのような国が攻めて来る懸念はなくなることがありません。

そのような平和が実現するのは、世界中の人々が心からイエスを平和の主と告白する必要があります。そのキリストの平和が実現するまで、シャロームをイマジンし(思い描き)ながら、同時に、目の前の国難に備える現実的な政策も必要になる場合があることでしょう。目の前の国防に関して、様々な対立的な意見が出るのは当然です。しかし、最終的な平和の夢が共有できているなら、政策の違いにも歩み寄りの可能性を見ることができるのではないでしょうか。お時間のある時に、 のサイトをご覧いただければ幸いです。