不信の連鎖——ウクライナ〜ピリピ4章8、9節

ウクライナの状況がとってもとっても心配ですね。特に、この一週間の間に、恐ろしいことが発覚するかもしれないのは、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリです。アゾフ海に面した人口40万人の美しいリゾート都市でもありました。そこの建物の90%が瓦礫と化し、今、15万人程度がその町に取り残され、水も食料も尽きていると言われていますが、実態がよく分かりません。

フランスのマクロン大統領が、住民が避難できるようにプーチン大統領に必死に掛け合っています。

この町がこれほど激しいロシアの攻撃を受けているのは、ウクライナの精鋭部隊アゾフ連隊の本部があるからです。ロシアがウクライナのネオナチ勢力と呼ぶときには、このアゾフ連隊がイメージされているのだと思われます。確かに、この連隊の発足の由来を調べると右翼勢力との強い結びつきがあり、様々な不祥事疑惑もあります。「アゾフ大隊」で調べると膨大な情報が出てきます。

残念ながらアゾフ連隊を巡っての根拠の薄い情報戦が、マリウポリの住民を苦しめている原因とも言えます。ネオ・ナチと言えば反ユダヤ人のはずですが、現実は、ウクライナのユダヤ人コミュニティーもこの連隊を支援しており、ウクライナ政府は、このアゾフ連隊に汚名を着せる動きに、ロシアの情報操作があると非難しています。

今、ロシアでは、マリウポリの住民をネオナチのアゾフ連隊から解放するという美談を作ろうとしていると思われます。そして、ロシア軍がマニウポリの住民に食料を配布している状況が盛んに放映されています。

しかし、一方で、マニウポリの住民がロシアのシベリアやサハリンへ強制移住させられるのではないかとの心配も生まれています。

実際、ロシアを中心としたソビエト連邦は、ウクライナの住民を何度も大々的に強制移住させてきました。

でご覧いただけます。

1930年代のウクライナ人への強制移住は、ソ連の集団農場に反対するクラークという自営農家に対してなされました。100万人から200万人もの強制移住がありました。また、以前からお知らせのとおり、ウクライナの農民が生産した小麦を強制徴収して餓死させたホロドモールという虐殺もありました。

また、クリミア半島はもともとトルコ系のクリミアン・タタール人が住民の大半を占めていましたが、ナチス・ドイツに彼らが協力したという嫌疑をかけられて、多くの住民が強制移住させられました。

ウクライナ南部や東部にロシア語を話す人々が多いのは、そのような強制移住と餓死政策に由来します。

この強制移住やホロドモールは、ウクライナ人にとっては繰返し聞かされてきた物語です。ですから、ソビエト連邦が1991年に解体したときに、真っ先にロシアの支配から自由になろうとしたのはウクライナです。

しかしプーチン大統領の理解では、ウクライナ人の反抗によって、ロシアを中心とする民族のまとまりは破壊されたということになっています。

ウクライナの一部の分離主義者がロシア全体の解体を促していると見ています。そして、その分離主義者の代表がアゾフ連隊であり、その本部のあるマリウポリの制圧と、その地域の完全なロシア化こそ戦争の大きな目的ということになります。

とにかく、ウクライナの人々にはロシアの伝統的な権力者に対する根強い不信感があります。

そして、マリウポリの住民こそ、互いの不信感の中で、一番大きな犠牲を強いられています。なかなか実態は分かりませんが、このウクライナ戦争での最大の悲劇として語り継がれるようになる可能性があります。

フランスのマクロン大統領が必死にプーチン大統領と交渉を続けています。そのために、ともにお祈りしましょう。

現在のウクライナの人々に、もっとロシア人を信頼しましょう……などと口が裂けても言ってはならない状況だとは思います。

しかし、私たちの間で不信の連鎖が起きないように以下のみことばをともに噛み締めて行きたいと思います。

最後に、兄弟たち。すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて評判の良いこと、また、何か徳とされることや称賛に値することがあれば、そのようなことに心を留めなさい……そうすれば、平和の神があなたがたとともにいてくださいます
ピリピ4章8、9節

今、インターネットの世界で様々な陰謀論のようなものが流布されて、すでに不振が渦巻く世界に、さらなる不信の種を蒔くような事態が起きています。

そのようなときに、大切なのは、歴史に目を向けることかと思います。そこから見えて来るものと向き合う時に、この状況に対しての冷静な視点と、熱い祈りの必要が見えてくると思います。