ボノとユージン・ピーターソンとの対話〜詩篇35篇、40篇

不安を抱えながら生きる日々かと思いますが、いかがお過ごしでしょう。昨日、英国のロックグループU2のリーダー・ボノと尊敬する神学者故ユージン・ピーターソンとの対話を Facebook で紹介していただき、とっても興味深く拝見しました。

以下でご覧いただけます。すべて英語ですみません

そこでボノが ピーターソンの聖書の日常英語訳にとっても感心していろんなところで宣伝しているということから、この対話が生まれたということです。

ボノは世界で最も愛されるロックシンガーの一人ですが、ピーターソンはそれまで一度も彼の音楽を聴いたことがなかった、しかし、彼の作った詩篇40篇の音楽に感心して、それからこの対談に至ったとのことです。

以下でその詩篇40篇をお聞きいただくことができます

ボノが感心し、紹介していたのが詩篇35篇の訳です

主よ、私と争う者と争い
私と戦う者と戦ってください

これがピーターソン訳では以下のように記されます

Harass these hecklers, God
punch these bullies in the nose

悩ませてください、あのヤジを飛ばす奴らを、神よ
あのいじめをする奴らの鼻をへし折ってください

ボノは、このスラング的な英語訳に、自分の気持ちが言い表されていると感心していました。彼はノーベル平和賞候補に三度も上げられるほどに、非暴力を訴え続けています。しかし、彼は詩篇に赤裸々に記されている暴力的表現にかえって、心が鎮められると言っています。

詩篇35篇では続けて11-16節で以下のように記されます

悪意のある証人どもが立ち
私が知らないことを私に問います
彼らは悪をもって善に報い
私のたましいは見すてられています
しかし私は 彼らが病のとき粗布をまといました
……
それなのに 私がつまずくと彼らは喜んで集まり
休みなく私を中傷しました
嘲りののしる者たちは 私の周りで
私に向かって歯をむき出しました

これは、自分の善意が裏切られたときの私たちの気持ちをストレートに表現したものです。

ボノは、キリスト教の歌が、ときにあまりにもきれいごとを並べているような気がすると訴えています。もっと私たちの中にある混乱した思いや怒り、切なさをそのまま表現したものがあってほしい。その点、ピーターソン訳の詩篇はまさに自分たちのうちに沸き起こる正直な気持ちが日常用語で表現されていて嬉しいと語っています。

祈りは、自分の気持ちを正直に訴えるものでなければならないというのがこの二人の対談の核心にあります。

ピーターソンは、詩篇のヘブル語は、決して美しいことばではなく、人間の心に湧き起こる様々な醜い、混乱した思いがストレートに描かれている、それはなかなか翻訳のしようのないものだと言っています。その点で、いろんな聖書の訳があることは助けになります。

また先のビデオでボノが歌っている詩篇40篇もまさに人の混乱した気持ちを神に訴えたものです。

私は切に 主を待ち望んだ
……
滅びの穴から 泥沼から
主は私を引き上げてくださった
……
主はこの口に授けてくださった
新しい歌を 私たちの神への賛美を

ボノはこの詩篇の歌に

How long to sing this song?

いつまでこの歌を歌うのですか、という繰り返しを入れます。

そこには、いつになったら聞いてくださるのですか……という趣旨の思いが描かれているように思えます。それが彼にとっての詩篇40篇の歌になっています。この世の現実ではいつも、主の助けが遅すぎるように感じられるからです。

そしてこの詩篇は以下のことばで終わります

あなたは私の助け 私を救い出す方
わが主よ 遅れないでください